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(写真=Thinkstock/GettyImages)

三井倉HD、住友倉はPBR0.7倍

順調な上値追いを続ける東京株式市場。循環買いの波は、休養十分の倉庫株を押し出そうとしている。前週半ば以降、大手不動産株が頭角を現しているが、倉庫株も賃貸等不動産の「含み益」が株価押し上げ材料として働く可能性が出てきた。

三菱倉庫 <9301> と三井倉庫ホールディングス <9302> の営業利益は、倉庫業を中心とする物流部門より、不動産部門の方のウエートが大きい。住友倉庫 <9303> も不動産ビジネスへ積極投資を計画し、不動産関連株の色彩が強まりそうだ。三井倉HD、住友倉のPBR(株価純資産倍率)はいずれも0.7倍台と、評価不足の水準にある。(個別銘柄取材班)

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三菱倉がリード役

別表に倉庫各社の前3月期末時点での賃貸等不動産の期末残高と期末時価、その差額である含み益、さらに直近のPBR(株価純資産倍率)をまとめた。上場倉庫会社はほかにもあるが、ここで取り上げたのは不動産ビジネスの収益構成比が大きい大手倉庫各社。含み益の大きさが浮き彫りになる。

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業界最大手の三菱倉をみると、前期末時点の賃貸等不動産の残高は911億1200万円で、時価は2852億5600万円。含み益は1941億4400万円に達している。前々期末時点の1800億5800万円から約140億円膨らんだ。

また、三井倉HDの賃貸等不動産の含み益は1031億1600万円、住友倉は490億700万円、渋沢倉庫 <9304> が391億6600万円、昨年10月1日に旧・イヌイ倉庫と経営統合した乾汽船 <9308> は413億3100万円。いずれも歴史のある企業とあって、簿価の低い賃貸等不動産を多く抱えている。

含み益が群を抜いている三菱倉の場合、前3月期連結決算のセグメント別営業利益は「倉庫・港湾運送等の物流事業」の72億400万円に対し、「不動産事業」が91億6600万円と、後者の方が大きい。138億円を投じて昨年9月に完成した日本橋ダイヤビルディング(東京・中央区日本橋一丁目、延べ床面積約3万平方㍍)がフル稼働することもあって、今期は不動産事業だけで100億円(前期比9.1%増)の営業利益確保を狙う。

三井倉HD、住友倉も意欲的。住友倉の不動産事業の営業利益は今3月期42億円(同14.7%増)を計画している。三井倉HDは5月半ばに打ち出した2018年3月期を最終とする新中期経営計画で連結営業利益110億円目標(今期予想は61億円)を掲げたが、ここでも不動産事業拡大による活性化が重要なポイントになっている。

相場的にとらえた場合、注目したいのは、①調整十分の倉庫株の値動き②PBRで割安感が濃厚――という2点だ。PBRは1.1倍台にある三菱倉を除けば、別表で示したように0.6~0.7倍台と正味の資産価値を大幅に割り込んでおり、「絶対割安株」と言える。

収益状況や含みなど総合力を踏まえると、相場のリード役はやはり三菱倉。全体相場の上げ潮にもかかわらず、3月24日に2042円高値を付けた後、調整色を強めていたが、1720円台まで下押したことでそろそろ整理一巡のタイミングだろう。動きだすと再び2000円指向の足どりに変わりそう。押し目は機敏に拾いたい。(5月26日付株式新聞掲載記事)

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