アベノミクスによる金融緩和などの影響で円安が止まらない。6月2日には1ドルが一時、12年半ぶりに125円台になった。昨年と比べ、1年間で20円以上も円安になっているのだ。円安が進めば進むほど、旅行先での物価が高くなるため、海外旅行を躊躇している人も多いだろう。しかし一方で、円の価値が上がっている通貨もある。それがユーロだ。

まだまだ先行き不透明なギリシャ経済の影響が尾を引いており、ユーロ下落が続いている。半年前は1ユーロ150円近くだったが、6月4日現在で1ユーロ139円。今は少しユーロ高に傾いているものの、3月には対ドルで11年半ぶりに安値更新するなど、以前に比べるとユーロ圏内の旅行がグッとお得に感じられるようになってきた。

そこでこの夏は欧州圏を旅行先に検討している人も多いという。世界最大の総合旅行サイト「エクスペディア」が発表した最新のユーロ圏旅行人気急上昇ランキングを紹介しよう(4月1日~5月12日の予約データより発表)。

5位 ベルリン(ドイツ)

前年比予約伸び率141%。ドイツの首都、ベルリンはEU圏内ではロンドンに次いで2番目に人口が多い巨大都市だ。一番有名なのはベルリンの壁。実際に見ると殺風景な壁だが、歴史を大きく動かしたこの場所は人生で一度は訪れておきたい。島がまるごと世界遺産になっているシュプレー川に浮かぶ博物館島は観光のハイライトでもある。芸術観光で人気が高いのは世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニーだろう。また、オクトーバーフェストの本場はミュンヘンだが、ベルリンでも開催されている。

4位 ニース(フランス)

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(ニース海岸)

前年比予約伸び率144%。南仏ニースは、地中海沿岸のコート・ダジュールにあり、カンヌ、モナコと並んで世界的にも名高い高級リゾート地。フランスリピーターならパリではなく南仏を選ぶ人も多い。1年通して温暖な気候で過ごしやすく、夏になるとバケーションを楽しむ世界中のセレブ達が集う。海岸の大通りはパラソルとデッキチェアで埋め尽くされ、南仏を代表する光景が広がる。

3位 ナポリ(イタリア)

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(ポンペイ遺跡)

前年比予約伸び率148%。南イタリア最大の港町。歴史的栄華の跡を多く残し、ナポリ湾、ヴェスヴィオ火山の美しい景色など、魅了される風景にあふれている。旧市街は世界遺産に登録されており、通称「スパッカナポリ」という下町は新旧の風情にあふれ、一番の観光スポットとなっている。もちもちした生地の絶品ナポリピッツァが堪能できる老舗店も充実。アマルフィ海岸や青の洞窟で有名なカプリ島観光もナポリからアクセスでき、あわせて訪れる人も多い。

2位 バルセロナ(スペイン)

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(サグラダ・ファミリア聖堂)

前年比予約伸び率150%。サグラダ・ファミリアで有名な建築と芸術の街バルセロナ。海外旅行ランキングでも常に上位に入る人気都市だ。見どころはやっぱり迫力満点のガウディ建築。街にはフォトジェニックな建築物がいたるところに。また、ピカソやダリ、ミロなどの名画を鑑賞できる美術館も豊富にあり、訪れる人を飽きさせない。サッカーの強豪バルセロナの本拠地、カンプ・ノウでの試合観戦を楽しむ旅行者も最近は増えている。

1位 ヘルシンキ(フィンランド)

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(ヘルシンキ大聖堂)

前年比予約伸び率170%。一般的にはまだまだ馴染みのない北欧圏だが、日本の女性には大人気。今年はムーミンの原作者トーベ・ヤンソン生誕100周年で、日本国内でもさまざま紹介されていることもあって、ムーミンの故郷であるフィンランドが特に人気を集めている。ほかにもサンタクロース村や映画「かもめ食堂」のロケ地など、コンパクトな国だが見所は多い。「イッタラ」や「マリメッコ」など、フィンランドを代表する北欧雑貨のショッピングも人気だ。ヨーロッパの中でも日本との距離が近く、直行便で10時間というのも魅力だろう。

「円安だから」という理由で海外旅行をあきらめるのはもったいない。遠い、高いという理由で敬遠されがちのヨーロッパだが、個性的で魅力ある都市はたくさん。燃油サーチャージの値下げも追い風になって、お得度が増している。ベストシーズンでもある夏のヨーロッパ、長い休みが取れる夏休みの旅行プランに加えてみるのもいいかもしれない。