(写真=PIXTA)

景気や価格には変動の波があり、それぞれに先行指標や遅行指標といったものがある。例えば景気の先行指標には企業の設備投資がある。設備投資が活発化していくと、そのうち景気も上昇してくる。

一方で、景気の遅行指標には有効求人倍率等の雇用指数がある。企業が好景気になると、そのうち雇用も増加してくる。不動産に関してこのような経済指標を理解していれば、不動産を安く買って高く売ることが可能になるのではないだろうか。そこで今回は不動産の値動きを先読みするための経済指標について、見ていくことにする。


1.基本の先行指標は不動産の取引件数

不動産の価格に直接的に影響を与える先行指標は、昔から不動産の取引件数であると言われている。不動産の取引件数は、不動産市場の活発化そのものを表している。不動産の中でも特に更地の価格は、取引件数に影響を受ける。

更地は他の一般財に比べると需要と供給の関係が特殊である。好立地は基本的には入札となり、取引形態としては有名絵画のオークションに類似している。工業製品の様に供給が増える訳ではないため、良い物件は需要過多になりがちである。例えば大規模なマンション用地などは希少性が高いため入札が行われる。土地取引が活発化しているということは、入札件数も増えていることになる。

入札が増えるということは、逆に入札に何度も負けるマンションディベロッパーも増える。マンションディベロッパーは土地を仕入れてマンションを販売していかないと血の流れが止まってしまう。そこで次の入札こそなんとか落札しようと各社がどんどん高い札を入れることになる。各社が躍起になる結果、更地価格は急速に上昇していく。


キャピタルゲインを狙うのであれば更地

このように、取引件数に敏感に反応するのは更地であるが、不動産でキャピタルゲインを狙いたいのであれば、やはり更地が一番である。更地には用途の多様性があるため、一つの更地にマンションを建てたい人や、賃貸オフィスを建てたい人、自社ビルを欲しい人といったように、様々な目的を持った人が取引に参加してくる。

そのため、オークションでいう競合が強くなり、価格が値上がりしやすい。一方で、賃貸マンションや賃貸オフィスといった収益物件は、既に用途が確定しており、取引参加者も投資家に限定される。そうすると競合は更地よりも低く、価格の値上がりは更地ほど期待できない。