日本が未だかつて経験したことのないような金利水準のイールドカーブ(利回り曲線)が続いている。2015年1月下旬に、日本の長期金利の指標である、10年債の利回りが、0.1%台となり、5年債の利回りがマイナスになるなど、稀に見る事態だ。なぜこのような状態になったのか、イールドカーブに着目して、その仕組みと、注目すべき理由を考えていきたい。

イールドカーブの仕組み

そもそもイールドカーブとは、一言でいうならば、残存期間別の債券利回りを連続的に並べた曲線である。イールドカーブは、その金利循環局面に応じて、長期債の金利が短期債の金利を上回る右肩上がりの状態や、その逆で右肩下がりになる逆イールドとなり、場合によっては長短の金利差が小さく、水平に近い状態になる。

また、イールドカーブの曲線が緩やかな傾斜となることをフラット化といい、傾斜がきつくなることをスティープ化ともいう。

現在の日本国債のイールドカーブを見ると、政策金利が低金利期にある場合、イールドカーブは、右肩上がりとなり、残存期間が長ければ長いほど金利変動の影響が大きくなっている。また、発行体のデフォルトリスクが上昇することから、基本的にイールドカーブは右肩上がりが大勢を占めるといえる。

一方、高金利期の場合は、右肩下がりになりやすい傾向にある。景気後退局面や、急激な信用収縮による短期流動性のひっ迫などの状況下では、中長期的には、金利が低下傾向になると考えられるため、逆イールドになるのだ。

機関投資家はイールドカーブを見て何をするのか?

通常、機関投資家は、短期、長期を含め様々な期間の債券を保有している。そして、債券の銘柄間の利回りの傾向を捉え、割高な銘柄を売却し、割安な銘柄購入を繰り返している。

このような利回り較差に基づく運用を較差運用(スプレッド売買)という。金利予想による運用もあり、ヘッジファンドや、運用会社、生損保、銀行など金融機関ごとに運用方法は異なるが、リターンを最大化が目的だ。そのため、プロである機関投資家は、当然ながらイールドカーブに着目することになる。

日銀がプレーヤーとなる異常な状態

上記を踏まえて、現在の日銀の金融政策を考えてみる。現在、日銀は量的金融緩和の導入により、国債購入オペとして、長期国債を買い入れており、その買入れ国債の平均残存期間が7年〜10年程度となるように買入れをおこなっている。通常、日銀はプレーヤーではない。

だが、日銀という普段はいないプレーヤーが債券市場で買い手として存在感を示し、金融機関が益出しのために売却する国債を、圧倒的な資金力で購入し続けているため、需給のバランスに変化が生じている。この影響で、国債の利回りは低下、金融機関の売却益は増加という事態になったのである。

もちろん、国債利回りの低下理由は日銀の買入れがすべてではない。1月の急変は、海外勢のマイナス金利での円調達と運用や日銀金融政策決定会合で付利引下げを発表するとの思惑などがあったが、日銀のプレイヤーとしての存在感は大きすぎるように感じる。

日本は今のところ、米国とは異なり、出口戦略が注目される展開にはなっていない。しかし、この金融緩和が終了するときに、債券市場が混乱する可能性を認識しておく必要があるだろう。低く抑えつけていた債券の金利の反発は、日本の投資家が経験したことのない壮絶なものとなるはずだ。そして、その際の、イールドカーブの形状にも注目していただきたいと思う。(ZUU online)