最近、都内の電車では、中国人観光客が大きな買い物袋をぶら下げ、大挙して乗車してくるシーンをよく見かける。いわゆる「爆買い」だ。
今や東京や大阪ではビジネスホテルの予約が取りにくい状況にすらなっているという。外国人観光客がビジネスホテルを利用し、滞在期間中に爆買いを行っているからだ。さらに買い物の対象は不動産にもおよびつつある。
なぜ日本の不動産を中国の富裕層は購入するのだろうか?そのキーワードは、「 円安」「キャピタルゲイン」「高利回り」「権利形態」だ。
円安とキャピタルゲイン狙い
円安が進んでいる日本の不動産市場は、外国人投資家からすると不動産のバーゲンセール状態だ。第2次安倍政権発足前は1ドル=80円前後だったものが、今では1ドル=120円と円安が進んでいるからだ。
また、北京五輪で値上がりを経験した彼らにとって、2020年に東京五輪を控える都内の物件は抑えておきたいエリアだ。例えば虎ノ門ヒルズの住居部分などは中国人投資家らが購入しており、しかも誰も住まわせてはいない。賃料収入を得るわけではないので、完全にキャピタルゲイン狙いなのであろう。
中国国内ではキャピタルゲインによる収益化が当たり前になっており、中国人投資家たちには不動産は値上がりするという認識があるのかもしれないが、一体このような住宅を最終的に誰が購入するのかは見えてこない。
所有できる不動産と高い利回り
中国の都市部においては土地は国有であり、日本の定期借地権のようなもので土地使用権が認められているだけだ。また建物についても、都市部では90%以上が国に所有権があり、個人所有の建物は10%にも満たない。一戸建ては大富豪しか購入できないのだ。そのため、中国人にとって日本の不動産は魅力的になっている可能性がある。
このような状況からすると、所有権を購入できる日本の不動産は、中国人にとって非常に資産価値が高いと言える。
そのため、最近では日本の都市部のマンションだけでなく、郊外の一戸建てを購入する動きも見え始めてきた。そういった中国人のなかには、いずれ日本に永住したいと考えている人たちも多い。治安も良く、賄賂が横行していない日本は、中国人にとって住みやすい上にチャンスも多い国と映っているようだ。
さらに4%の利回りを確保できる日本の収益不動産は3.5%台の上海、1~1.5%台の台北に比べ魅力的に映る。決して飛びぬけて高いわけではないが、購買を後押しする要因にはなっている。