物件に関するトラブルや市場が冷え込む可能性も

不動産コンサルティングを営むリーウェイズ 代表取締役社長の 巻口成憲氏は「中国人は元々資産を分散させる傾向にありました。今、日本の不動産は彼らから見てOECD諸国のなかで一番安い。特に、これまで彼らの投資先だった台湾、シンガポール、香港などはすでに値上がりしてしまいました」と指摘する。

「北京五輪時に不動産の値上がりを経験した層が味をしめており、東京五輪までの値上がりを期待して購入しています。加えて、富裕層の子供たちの留学先として、従来人気だった米国、カナダに加えて日本が浮上しています。 遠い国よりは近くにいてほしい、という心理なのでしょう。 元々一人っ子政策の影響から子供にお金をかけるお国柄で、富裕層ともなると子供のために現地の不動産を賃貸ではなく購入する傾向があります。さらに円安と五輪での値上がり期待が相まって、日本の不動産が“買い”になっているのでしょう」

「彼らに人気なのは、六本木や新宿といった有名なエリアですが、最近は離島を購入するケースもあると聞きます。都心のマンションのような物件だけではなく、土地にまで興味関心を持っているようです。一方で、管理面のトラブルは多いという話もよく聞きます。ゴミ出しや、実際に居住せず管理に携わらないなどの問題なども発生しているようです」

しかしながら、為替やキャピタルゲイン、利回りという経済的な要因だけであれば、中国人投資家の「不動産爆買い」は2020年の東京オリンピック後に急速に冷え込む可能性もある。

巻口氏も「円高に振れるか、五輪前に一度彼らが売りに回ることも想定されます。そこから値崩れするケースも十分にありえるでしょう」と語る。

一方で永住目的というニーズならば、今後も需要は底堅く推移する可能性はある。永住の実需をもっと増やせれば、末永く買ってくれる良いお客さんになってくれるのかもしれない。