不動産オーナー,立ち退き,定期借家契約
(写真=PIXTA)

不動産の賃貸事業を行うにあたり、借地借家法の知識が不可欠だ。不動産投資を行う際、借地借家法についてなぜかクローズアップされることはあまりない少ない。

しかし、いざ賃貸事業を始めると借地借家法に深く関わることになる法律である。借地借家法は、入居者である借家人に非常に有利な法律だ。そのため、新しく不動産オーナーになった賃貸人は、この法律に苦労するケースが少なくない。

そこで今回は、借地借家法の中でも賃貸人に有利な制度である「定期借家制度」の概要について紹介するとともに、注意点についても触れてみることにしたい。


増えつつある定期借家契約

2000年3月より施行された定期借家制度は2000年3月の施行から今年で15年をが経過した。アットホームの調べでは、2014年度内において首都圏における居住用の「定期借家物件」の成約件数は6,631件で、前年度を2.1%上回った。

また、東京23区の普通借家を含めた全体の賃貸借契約のうち、定期借家契約は2.7%を占める。居住用の賃貸借契約のなかではまだまだ少数派であるが、徐々にその件数は増え始めてきている。


定期借家のメリットは立退き

まず賃貸借契約は「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類に分けられる。普通借家契約と定期借家契約はともに契約期間が定められている点は同じだが、一番の大きな違いは、普通借家契約の場合は期間満了時点で更新ができるのに対して、定期借家契約の場合は期間満了時点で契約が終了する点だ。

つまり定期借家は、期間満了時に入居者を確実に退去させることができる。もちろん普通借家契約の場合においても、賃貸人と賃借人の双方が合意すれば、賃貸借契約を解約終了することができる。ただし、普通借家契約で賃借人を退去させる場合は、賃貸人に正当の事由とそれを補完する立退料が必要となる。

例えば建物をリノベーションしたい場合や、入居者が近隣とトラブルを起こした場合、入居者や賃料不払いが頻繁にある入居者が頻発するといった場合など、オーナーが入居者を退去させたいケースがある。このとき、普通借家契約だと賃借人の合意を得られない場合は、簡単に退去させることができないのだ。