外国人観光客をターゲットにしたインバウンド需要拡大への取り組みが、全国各地でおこなわれている。国税庁が2015年7月1日発表した、相続税の算定の基礎となる相続税路線価の上昇地点を眺めてみると、誘致に成功している観光地は上昇率も高い傾向にあった。
商業地を中心に、外国人観光客による買い物需要という実需に支えられたエリアは、上昇率が特に高くなっている。不動産投資という意味では、これから伸びる観光地は注目に値する。そこで今回はインバウンド需要を先読みして、今後の投資エリアを考えてみたい。
外国人観光客に人気の観光地ランキング
2015年6月11日に旅行口コミサイトを運営しているトリップアドバイザーが、訪日外国人が選ぶ日本の観光スポットランキングの2015年版を発表した。
1位は京都・伏見稲荷大社、2位は広島平和記念資料館(原爆ドーム、広島平和記念公園)、3位は広島・厳島神社となっている。
このトップ3は2014年版でも同じで不動の人気スポットだ。そこで路線価をみてみると、京都では下京区四条通で路線価上昇率5.3%のエリアがある。また広島では中区胡町が上昇率10.2%。いずれのエリアも5%以上の高い伸び率を示していた。
また同ランキングの2014年版と比較して、トップ10の中で昨年より順位を上げている観光スポットが、4位の奈良・東大寺と、5位の京都・禅林寺 永観堂、6位の長野・地獄谷野猿公苑、8位の京都・サムライ剣舞シアター、9位の沖縄美ら海水族館の5つである。トップ10の中に京都が3つもランクインしている点も注目だろう。
人気が底堅い東京~福岡間
インバウンドの観点からすると、京都や広島は観光地としての需要が高く、東京~福岡間の主要都市は路線価の上昇率が高かった。都道府県庁所在地の最高路線価で見ると、東京、名古屋、大阪、広島の4都市は上昇率が10%を超えている。
その他、横浜、京都、岡山、福岡も上昇率が5%を超えた。大阪や名古屋などの商業都市は、外国人観光客の買い物需要に支えられ、商業施設の好調が続いている。
もちろん、最高価格は東京で、路線価日本一は30年連続で中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前のエリア。2015年のデータでは、前年比14.2%で1平方メートル当たり2,696万円を記録している。