はじめに
中国人観光客は、爆買いから始まり、今日の観光ブームまで、今後もさらなる経済効果が見込まれる分野だ。そして近年中国人の消費動向は、モノからコトへシフトし、より日本の体験を求めてやってくる観光客が増えつつある。それに伴い、日本の受け入れ態勢も変化する必要があるのだ。中国人観光客を受け入れるための日本の取り組みや、それに伴う日本経済の変化を変遷を知り、今後の動向を探っていこう。
100万ドルもの資産を動かす、チャイナ富裕層の激増
ボストン・コンサルティング・グループの報告書によると、中国の富裕層は2013年に237万8000世帯だった。前年比82%も増加しており、日本の124万世帯の約2倍の規模である。2018年現在では少しその数が減少しているものの、依然としてアメリカに次ぐ世界第2位の富裕層大国だ。
世帯当たりの流動資産が100万ドル(約1億円)以上と呼ばれる『富裕層』を獲得しようと、世界が躍起になっている。今回はその中で新制度を発表したオーストラリアとビザ緩和に動く日本に注目してみよう。
永住権獲得に14億円!桁外れのグリーンカードの需要はあるのか?
移民の受け入れに積極的なオーストラリアは2015年7月より富裕層が『永住権』を取得するための優先策を導入した。内容としては、1年間に1500万オーストラリアドル(2018年12月で約11億円)以上を投資すれば、永住権を優先して獲得できるというもの。
永住権は選挙権以外の権利(住居の自由、職業の自由(公務員以外)、医療保険加入、失業保険加入など)が与えられる。また、相続税、贈与税が発生しないため資産をオーストラリアに移す富裕層は多い。
世界有数の良好な鉄鉱石と石炭の産出国であり、投資マネーが集まる事でも知られるオーストラリアは、中国の富裕層や要人らの投資をターゲットにした「上級投資家ビザ」が2012年に制度化されていた。そのときの調査では1000万人もの中国富裕層がオーストラリアへの投資を考えているとの結果がでており、今回の「永住権」優先策でさらにオーストラリアへの投資や移民ブームは続くものと考えられる。