派遣法改正,労働法改正
(写真=PIXTA)

6月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)では、企業の景況感を示すDI(業況判断指数)は大企業製造業でプラス15に改善。特に、設備投資に積極姿勢がみられる中、技術者派遣を手掛けるアルプス技研 <4641> が年初来高値を更新。

今後は改正派遣法の施行で大手派遣への関心が高まることが予想され、技術系派遣最大手のメイテック <9744> や、昨年東証に上場したテクノプロ・ホールディングス <6028> などに注目が集まる可能性が出てきた。

厚生労働省が発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍と23年2カ月ぶりの高水準。完全失業率は18年ぶりの低水準の3.3%と雇用情勢の改善が続く。求人情報サイト「バイトル」などを運営するディップ <2379> は今2月期第1四半期(3?5月)決算発表と同時に、通期の上方修正を発表、人材派遣関連への恩恵が出ている。

一方、リクルートジョブスが発表した5月度の派遣スタッフ募集時平均時給調査では、3大都市圏では24カ月連続で前月比プラスとなるなど堅調な上昇が続くが、「IT・技術系」は調査以来の過去最高を記録。特にIT関連での引き合いは強いようだが、製造業の技術職でも求人状況は良好だ。

派遣業に関しては、現在は最長で3年までとなっている派遣期間の制限を撤廃する一方、1人の派遣労働者が企業の同じ部署で働ける期間を3年に制限するなどとする労働者派遣法の改正案が参議院で審議中となっており(14日時点)、参議院通過で9月にも施行される可能性がある。

この改正によって、製造業での派遣利用拡大が進む可能性があるとの見方があるほか、これまでの特定・一般の区分をやめ、すべて許認可制度にすることによってキャリアアップなどの要件を満たすことができない派遣企業が廃業し、大手派遣への集約が進む可能性が出ている。


メイテック、利益計画保守的

技術者派遣最大手のメイテックは約1000社に上る日本の製造業大手を顧客とする。今3月期の連結営業利益予想は98億円(前期比2.7%増)と小幅増益を予想。ただ、今期第1四半期(4?6月)の全体稼働率(メイテック、子会社メイテックフィルダーズ)は93.7%と、前年同期から上昇。技術者の時給も上昇傾向にあり、事業環境は良好とみられる。市場予想では営業利益は104億円が見込まれ、会社予想は保守的と言えそうだ。

特に、三菱重工業 <7011> 、キヤノン <7751> など日本を代表する企業を顧客に持つと同時に、さまざまな業種を対象とした事業展開を行っており、設備投資の恩恵も期待される。

株価は、中国株式市場の変調の影響から一時大きく下げたものの、13週移動平均線近辺で下げ止まった。その後の株価の戻りは早く、6月5日の年初来高値4790円を目指す動きも期待できそうだ。

技術系派遣では、テクノプロHの5月の稼働率は94.0%に回復。大幅な新卒採用などを行った影響から4月に一時稼働率が落ち込んだものの、5月には回復。5月の月末在籍数は1万1888人に達し、1万2000人の大台がみえてきた。

株価は4月の上場来高値3670円以降は3000円台を中心とした大きなもみ合いを続けており、7月31日の前2015年6月期決算発表が注目される。

このほか、アジアを中心に海外での展開を加速するアウトソーシング <2427> は7日に年初来高値2318円まで買われ、強調展開を続ける。10日に新規上場した平山 <7781> も技術系派遣を手掛けている。(7月15日付株式新聞掲載記事)