貯蓄額,お金持ち
(写真=PIXTA)

総務省の家計調査(2014年10月~12月期)によると、全国の2人以上世帯の平均貯蓄額は1,814万円。これを都道府県別に分析してみると、いろいろと面白いことが分かってくる。家計調査のデータ分析から、貯蓄と県民性の意外な相関を見つけていきたい。

貯蓄額の都道府県別トップは東京都

貯蓄額を都道府県別に見ると、貯蓄額が多いのは首都圏で、地方都市は少ない傾向がある。都道府県の県庁所在地と政令指定都市で貯蓄額を比較すると、トップは東京都(東京都区部)で2,578万円。続いて奈良県(奈良市)の2,556万円。神奈川県(横浜市)の2,406万円。静岡県(浜松市)の2,285万円。埼玉県(さいたま市)の2,161万円と続き、トップ5には東京から大阪にかけての都市が占める結果になった。

一方、ワースト5は沖縄県(那覇市)の773万円を筆頭に、青森県(青森市)の952万円。佐賀県(佐賀市)の1,041万円。宮崎市の1,096万円。高知市の1,161万円の順である。こちらはトップ5と対象的に、東京から遠く離れた九州・沖縄・四国、北東北地方からランクインしている。

定期預金が大好きな堺市民

家計調査の貯蓄・保有額には、普通預金等の通貨性預貯金、定期預金等の定期性預貯金、生命保険、株式や国債といった有価証券など、区分別の保有額の内訳も出ている。このデータから、どの地域が流動性を重視し、どの地域がリスク資産を好むかという資産運用の特徴が見えてくる。

区分別の保有額で対象的な傾向を見せたのが、定期性預貯金と有価証券である。有価証券の保有額のトップ5には、奈良県(奈良市)、東京都(東京都区部)、三重県(津市)、神奈川県(横浜市)、神奈川県(川崎市)がランクインした。

一方で、定期性預金のトップ5には、大阪府(堺市)、福岡県(北九州市)、和歌山県(和歌山市)、静岡県(浜松市)、栃木県(宇都宮市)と全く違う県がランクインした。定期性預金の金額がトップである堺市は、通貨性預貯金の貯蓄額が35位。有価証券の貯蓄額が32位であり、定期性預金への貯蓄が全体の55%と、全国平均の42%と比べて大分高くなっている。

大阪府(堺市)の定期性預金の金額がトップである背景には、大阪地区の定期預金の金利競争の激しさが考えられる。例えばみずほ銀行では、通常の定期預金の金利は0.025%。ところが、1,000万円以上の円定期預金を新規に開設すると、関西地区限定で3か月定期の金利が年率1.0%となる「2015夏のウルトラキャンペーン(2015年6月1日から2015年8月31日)」を行っている。

また、大阪府と兵庫県を地盤とする大阪共栄信用組合でも、1,000万円以上の定期預金の金利を年0.6%に設定している(*2)。金融機関が定期預金で激しい金利競争を行うことで、堺の人が定期預金を好んでいると考えられる。

貯蓄や資産運用を重視しない沖縄県民

一方、沖縄県(那覇市)は全国都道府県の中で唯一、通貨性預貯金での保有比率が30%を超えており、流動性を重視する県民性のようだ。沖縄県の貯蓄金額が最も少ない要因は、物価がかからないことにあると考えられる。家計調査によると、沖縄県の消費支出と持ち家率は47都道府県中47位。生活するのにお金がかからず、さらに持ち家を所有しているため、貯蓄に励む割合が少ない。また、細かいことにこだわらないと言われる沖縄県民の県民性も関係しているようだ。

住宅ローンをいっぱい借りるのは大阪府と香川県

家計調査には都道府県別の負債額も集計されている。それを見ると、負債額が多い都道府県のトップ5は千葉県(千葉市)、大阪府(大阪市)、静岡県(浜松市)、香川県(高松市)、神奈川県(横浜市)の順。負債額はほぼ住宅ローンの金額に比例する。貯蓄額の順位はさほど高くないのに負債額が上位に来る大阪府(大阪市)と香川県(高松市)は、住宅ローンで限度までの金額を借りる県民性がうかがえる結果となった。(ZUU online 編集部)