(写真=PIXTA)
2014年1月、個人投資家のためにスタートしたNISA(少額投資非課税制度)。金融庁の発表では15年3月末のNISA総口座数は825万口座を超え、買付額は1兆円を超えたとのことだ。
その商品別の比率を見ると、投資信託が66.1%と最も多く、上場株式は31.7%と投資信託の半分にも満たない状況となっている。
NISA口座に本当に適しているのは投資信託?
証券会社のNISA口座における人気商品を見ると、投資信託の多くは毎月分配型であることが分かる。しかし、毎月分配型の投資信託は、必ずしもNISA口座に適しているとは言えないのはご存知だだろうか。
毎月分配型のファンドは、投資家が定期的に分配金を受け取ることができるため、分配金で年金を補おうと考える高齢の投資家から根強い人気がある。
分配金には普通分配金と特別分配金の2種類がある。普通分配金は運用収益から支払われるので課税対象だが、特別分配金は、元本の取り崩しとみなされるためもともと非課税である。
分配金を重視するあまり、特別分配金で元本を取り崩しているような投資信託では、NISAの非課税枠の恩恵を受けることはできないのだ。
また注意点として、分配金再投資型ファンドの場合には、再投資分も含め年間の投資額が非課税枠の100万円を超えると、その分はNISA扱いではなくなる。一般口座・特定口座で投資されることになり、課税対象となるのだ。
また、分配金を受け取ることで複利効果のメリットを受けることができず、長期投資になるほどメリットを受けることができなくなる。こうしたことから、分配型の投資信託は長期投資を前提としたNISAには実はあまり適していないといえる。
非課税メリットを狙い、急騰株を狙うのも手
国内公募株式投資信託の普通分配金・譲渡益に対する税率は所得税15.315%と住民税5%をあわせた、計20.315%がかかる。NISAの非課税メリットの恩恵を受けるための一つの手段として、値上がりが見込める資産をNISA口座で保有したい。例えば、 下落リスクも高いが上昇する可能性も高いボラティリティの高い銘柄に投資をするのも一つの手である 。 仮に NISA口座で買付けた株が、2倍、3倍になれば、非課税メリットの恩恵を大きく享受できるわけだ。
SMBC日興証券のキンカブを余ったNISA枠の補充に
しかし、NISA口座で株を買おうした際に困ったことが起こる。
例えば、NISA口座でトヨタ自動車 <7203> を購入するとしよう。同社株の7月17日の終値は8345円、同社株の最低売買単位は100株だ。つまり同社株を100株買えば165500円が残ってしまう。これでは100万円のNISA枠をフルに利用できない。さらに、最低売買高が100万円を超えるようなファーストリテイリング <9983> は投資対象外となってしまう。
ここで注目したいのが、SMBC日興證券のキンカブというサービスだ。通常の株式取引では銘柄ごとに決められた単位で注文する必要があるため、トヨタ自動車やファーストリテイリングのような不具合が生じる。
しかしキンカブは1万円以上からの金額単位で注文することが出来るため、NISA枠100万円の非課税枠を無駄なく使い切ることが可能だ。
贈与税や相続税の節税対策にまで使えるこどもNISA
そして、16年1月からはNISA制度の拡充策が実施される。その目玉になるのがこどもNISAだ。こどもNISAの特徴をみてみよう。
①日本に住む0~19歳の未成年者が口座開設出来る(親権者等が代理で資産運用を行うことができる)
②投資上限額は毎年80万円まで(5年間で最大400万円)
③20歳以降は自動的にNISA口座が開設される
④口座開設者が18歳になるまでに、払出しを行う場合、過去の利益に対して課税され口座を廃止することになる
⑤こどもNISA口座開設後は、金融機関の変更かできない
こどもNISAは贈与と密接な関係があり、計画的な相続税対策として大きな注目を集めている。110万円までの贈与は課税されないため、こどもNISAのための 80万円の贈与も課税されないのだ。
そして贈与では、本当に贈与があったのかどうか、それとも節税のために名義を借りているだけなのかという 名義預金が 税務調査で問題になるため、こどもNISAを使うことで、子や孫へ資金が移転したことが証明できる。こどもNISAは、その受け皿として大きな役割を担うことになりそうだ。(ZUU online 編集部)