政府債務の増加は将来世代にツケを回すと言われるが、政府債務の増加を恐れて名目GDPを縮小させているほうがより大きなツケを回していることになる。
生活は実質ではなく名目ベースであり、特に名目GDPが拡大している状態を維持することは、政府・日銀の責務であると考えられる。名目GDPが拡大した方が、成長を実感しやすいのは間違いない。名目GDPが縮小していることは、若年層の現在の負担でもあり、経済全体の将来の負担でもある。
名目GDPが縮小するのは、経済が使えるお金の量が減少するのと同じである。既に持っている人々のお金の量より、若年層を中心として持たざる人々のお金の量がより減少する、または増える機会が奪われることになり、不平等はより大きくなってしまう。
持たざる人々にわたるお金の量が増える機会を維持することにより不平等を緩和し、リスクをとり生産性を上げるインセンティブを作るためにも、日銀の金融緩和や、財政拡大により政府債務を増やしてでも名目GDPを拡大させ続ける必要がある。
その結果としての債務の増加は、豊かになる機会が与えられる若年層にとっては投資であり単純な負担では決してないはずだ。政府債務の増加は将来世代にツケを回すと言われるが、政府債務の増加を恐れて名目GDPを縮小させているほうがより大きなツケを回していることになる。