トレンド転換の合図

筆者の立場ではテクニカル分析的な事はどちらかと言えば信用していないのですが、後述するような投資対象としての金の役割を見れば、図1の直近(2014年1月)においてダウ・金レシオが上がり始めている事が、株高の合図であるととらえる事も可能かもしれません。
現に最近の株高に反して金価格は下落傾向にありますし、現時点では過去の傾向と一致していると言えそうです。

何故逆相関するか

ダウ平均と金価格が逆相関するのはなぜでしょうか。簡単に説明すれば、資金と逃避先として使われるからです。 前述したとおり、金は極めて有用な金属であり長期に渡って大きな需要があります。とは言え、金をもっていても何か収益を生むわけではありません。企業の株価であれば、企業が良い業績を挙げれば配当を生む可能性がありますし、不動産も新たな収益源にする事が可能です。

しかし、金を持っていても新しい何かが生産されるわけではなく、ハイリターンを求めて投資するものではないのです。 金が多く買われるのは、株式や不動産などハイリスク・ハイリターンの投資商品が値下がりし、価格が上昇する見込みが小さい時です。

歴史的にバブルが幾度となく繰り返されている以上、投資対象に戻ってくる事も多く、金を中心とした投資も一つの選択肢ですが、暫くは株式への注目が高まると考えるのが妥当でしょう。

両価格の比の不安定化

最後に注意しておきたいのは、 ダウ平均と金価格の比が不安定化している ことです。図2は、図1に1913年を区切りとして、両価格の比の振れ幅が大きくなっている事を示しています。

テクニカルアナリストの中には、この傾向を読んで更に振れ幅が大きくなっていくと予想している人も見られます。その予測が正しいかは筆者には分かりませんが、仮に正しい場合、ダウ平均と金価格の傾向が崩れつつあると考える事も出来、資金の逃避先の多様化など様々な可能性を考える必要があるでしょう。

図2:ダウ・金レシオの1913年を区切りとした変化

出典: 200 YEARS OF THE DOW/GOLD RATIO(SHARELYNX GOLD)

BY たけやん: 済学修士号を取得後、株価推定の事業・研究を行っている

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