(写真=PIXTA)
昨年、2001年より発足したJ-REITに10年以上の時を経てようやく病院がREITに組み込まれた。REITは賃料収入を原資として配当するため、賃貸借契約が成立する物件であれば、基本的にはどのようなアセットタイプでも対象となる。
それでは、病院REITは他のアセットタイプと比べてどのような特徴があるのだろうか。今回は賃貸不動産としての病院について、その実像に迫ってみる。
病院は転用可能性の低い建物
病院のアセットの特徴としては、病院以外の転用可能性が低いところにある。病院にはMRIや手術室、CTスキャン室などの医療スペースがあり、それらは電磁波シールドやクリーンルーム用の特殊な空調、容量の大きな非常用発電機等の特殊な仕様があり、病院以外の用途には転用しにくい。特殊仕様が多く、病院の建築費は全般的に割高な傾向にあるのだ。
把握しにくい賃料相場
また一口に病院といっても、診療科目によって収益性も異なる。一般的に、透析を扱っている病院は収益性が高いと言われている。精神科などは設備投資も少ないため他の科目と比較すると収益性は高い。その逆に、救急医療などは地域にとって必要な医療機関であるにも関わらず、収益性が低い傾向にある。病床の数だけではなく、回転数も収益性に関係する。このため、オフィスや住宅のようにエリアで賃料相場を坪いくらと把握しにくい点も病院の特徴だ。
病院の建替えニーズ
REITに組み込むのが望ましい不動産と言えば、病院も新築または築浅物件の方が望ましい。不動産オーナーにとっては、大規模修繕が発生するリスクが少ないからだ。新築病院が次々と登場すればREITにも組み込みやすいのだが、既存病院の建て替えはなかなか進んでいないのが実態だ。
病院の建物は、建築基準法以外のみならず、医療法なども関係する。そのため、法改正のたびに既存不適格になりやすいという特徴をもつ。病院建物の実態的な耐用年数は物理的な耐用年数よりも短い運命にあり、病院側にとっても建て替えニーズは高い。