少ない新築物件

しかしながら、建て替えがスムーズに運ばない理由としては、入院患者を抱える中規模以上の病院は医療を中断できないということが挙げられる。

病院の建て替えが上手くいくケースは、敷地に別棟を建てる余裕がある場合や、たまたま近隣に病院敷地が確保できた場合などで、入院患者をスムーズに移動できる条件が整っていることが多い。病床数も地域によって決まっており、新しい病院を作る際に増減させられないという事情もある。

また非営利な面がある病院事業においては、収益性が低い医療法人も少なくない。金融機関も与信を低く評価して融資を拒むため、建て替え資金が確保できないというのも大きな理由の一つだ。


REITで期待できる新たな資金調達

このような背景もあり、REITという形で投資家から資金調達ができるようになったことで、建て替えにも弾みがつくと考えられる。一方で、投資家としても病院REITには安定収益を期待できる。病院は地域医療に根差す存在となるため、撤退リスクが低いからだ。病院側としても、MRIやCTスキャンなどの医療機器で億単位の投資が発生しているため、撤退しにくい状況にある。


撤退リスクが低いのが魅力

国土交通省は、6月17日に病院を投資先とするREITの普及を促す資産運用会社向けの指針を取りまとめている。その中でも特徴的なのは、病院側との信頼関係の構築にも言及し、資産運用会社に対して、一方的な賃料の引き上げなどを避けるよう求めている点だ。地域医療の重要性を考慮すれば、賃上げによって病院が撤退する事態はあってはならないからだ。

逆に言えば、投資家にとって病院REITは硬い利回りが期待できるということだ。REIT本来の目的であるインカムゲインが安定的に享受できる。今後、建て替えが進み、病院REITの物件数が増えていくことを期待したい。(ZUU online 編集部)

【関連記事】
ハンバーガーセットが4,600円!?世界一食事代が高い都市はココだ!
ビジネスマン必見!日経をネット上で閲覧する意外な方法とは?
なぜ、今「赤色」が人気なのか?景気と色のおもしろい関係
日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
過去最大級の時価総額10兆円超?日本郵政3社の上場(IPO)に迫る