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7月27日発表の日経ヴェリタスに大家300万人時代という記事が掲載されておりました。平成27年からの相続税増税ひとつとしてアパート等の賃貸不動産経営が注目されていますね。アパートからの一定の家賃収入が期待できるうえ、その敷地は自用の土地と比較して課税評価が下がるという利点があるからです。

しかし一方で、不動産は常にリスクを伴っているものです。将来にわたって維持・管理のための費用が発生すること、また空き室が生まれることによる収入減のリスクがあることを忘れないでください。ここからは、そのようなリスクを予測するための基本的な考え方・情報収集法をご紹介します。


まずは賃貸需要が見込めるかどうかを知ろう

賃貸不動産も他の市場と同様に、需要と供給のバランスから成り立っています。需要が少なく供給過多の状態になってしまうと、空き室が生まれる可能性が高くなりますね。この場合の需要とは、そこに住みたいと思う人達がどれだけ多いか、ということです。いくつか例を挙げてみましょう。

①都心に近く通勤圏内である
都市中心部やその周辺では当然の事ながら人口が集中しますから、多くの需要が見込まれます。ただし中心となる都市が景気減速などで衰退し始めると、徐々に人が離れていくことがあるでしょう。

②周辺に大学等があり学生が多い
学生は利便性を考えて学校周辺に住むことが多く、一定の需要があると考えられます。ただ一方で学生は卒業・就職により数年で退去していきますので、空室が生まれる確率は高いと言えますね。また学校の移転等があると、一気に需要が少なくなるリスクもはらんでいます。

③住環境が良く人気のあるエリアである
ショッピングに便利・緑豊かな公園がある・治安が良い等で住環境が優れたエリアでは、主にファミリー層の需要が多いでしょう。ファミリー層は単身者に比べて比較的高い賃料が設定できることや、居住期間が長いため安定した家賃収入が見込めるといった利点があります。ただいったん空室が生まれてしまうと、場合によってはなかなか入居者が決まらず空室が長期化するといったデメリットも考えられますね。こういった観点から、所有する不動産にニーズがあるかどうかを知りましょう。


人口統計で人の動きを知ろう

いま日本では少子高齢化が急速に進んでいて、全国の人口も減少傾向にあります。人口が減れば賃貸不動産の需要も当然の事として減っていきますから、市場は縮小傾向にあるというのが現実です。ただその中でも、地域別に見ると流入が多く将来にわたって人口増加がみられるエリアもあることも事実。そのような傾向をデータで示してくれるのが、国や各市町村等で集計している人口統計です。ほとんどの場合、自治体ホームページで公開されていますからチェックしてみましょう。年度ごとの推移で増加しているかどうか、年齢別人口のバランスが良いかといった観点から見てみると、その地域の将来像がわかるでしょう。


地価公示で不動産価値の推移を知る

地価公示とは毎年1月1日を基準日として土地の適正な価格を調査・発表する制度です。ここで注意していただきたいのですが、土地の価格と賃料は必ずしも比例するものではありません。しかし各々の地域の標準的な土地を継続的に調査していますので、不動産価値の推移を知るには良い指標だと言えます。国土交通省の土地総合情報システムのホームページで、全国の地点を検索することができます。同じ地点について過去10年くらいの価格推移を見てみると、その地域の将来性を予測することができるのではないでしょうか。