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(写真=大川 佑)

日本人が1週間に飲むコーヒーは平均で 11.13杯。

これは全日本コーヒー協会が12歳以上を対象にまとめた調査結果のため、成人に限ると飲まれている量はもっと多い。たとえば25歳から39歳の男性は13.48杯だし、40歳から59歳の男性は14.74杯と1日2杯も飲んでいる計算になる。

1990年に29万トンだった日本のコーヒー生豆輸入量も、2014年には45万6,000トンと過去最高に達した。これを後押ししているのが、2013年ごろから急拡大している「コンビニコーヒー」。1杯100円で淹れたてのドリップコーヒーが飲めることから一気に支持を広げた。各社とも味やサービス、商品ラインアップを年々充実させており、競争は激しくなっている。

代名詞的存在のセブン-イレブンの「セブンカフェ」は、2013年の開始から2年弱で累計5億杯を売り上げ、2014年の発表では1店舗あたり1日100杯程度売れている。ファミリーマートは「FAMIMA CAFÉ」で、Sサイズ120円をセブンカフェと同じ100円に値下げして対抗。ローソンの「MACHI Café」は宇治抹茶ラテなど独自性のある商品を追加。店員がコーヒーを淹れて渡すことでも、セルフサービスの他社と一線を画す。大手3社以外のコンビニチェーンも参入、各社とも夏向けにはアイスラテやフラッペなどを用意するなど、いまやカウンターコーヒーは、コンビニにとって1年を問わず集客力の高い商品となっている。

コンビニのみならずファストフード店も力を入れるなど、コーヒーは安く手軽に飲めるものになった。従来からある缶コーヒーも、大手がより美味しい商品を開発しようとしのぎを削っている。その一方で、若干価格帯は上がるものの、ハンドドリップが特徴の「サードウェーブ」と呼ばれる新しいタイプのコーヒー店も新たに支持を得ている。

コーヒーがすっかり身近な存在になった今、コーヒーショップの象徴的な存在といえるスターバックスが、初めてボトル缶コーヒー『スターバックス ブラックコーヒー パイクプレイス ロースト』を8月25日に発売した。スタバとともに商品を開発したサントリー食品の執行役員で、食品事業本部ブランド戦略部長の北川廣一氏が、発売当日にZUU onlineの単独インタビューに応じた。


コンビニコーヒー人気の中でも、ボトル缶は伸びている

――既にスターバックスの商品はチルドカップで出ていますが、新たにボトル缶を出す狙いは?

新商品のコンセプトは、スターバックスブランドのコーヒーをRTD(Ready to Drink、買ってすぐに飲める缶やペットボトル、チルドカップ入りの飲料の総称)にして手軽に飲んでいただきたいということ。ショップでの人気商品「スターバックス ラテ」についてはチルドカップを2005年に発売して既に10年経っていますが、今回は品質の高いブラックコーヒーを飲んでもらいたいと開発しました。

この時期に発表できたのは、ちょうどこれからはホット・コールド両方で楽しんでいただけることからも良かったと思っています。

――日本では今コンビニコーヒーが人気ですが、支持されるでしょうか?

たしかにコンビニのカウンターコーヒーは広く支持されていますが、そんな中でもボトル缶の販売は伸びています。ショート缶は微減傾向にありますが、ボトル缶は好調なんです。

ボトル缶は、飲み口が広くて香りが楽しめるという品質面での利点があるだけでなく、オフィスやドライブ、散歩に蓋を閉めて携帯できるという利便性があります。それにカウンターコーヒーなどとはニーズが違うと思います。たしかにボトル缶も、カウンターコーヒーも、コーヒー本来の味わい香りが好きな人に向けたものではあります。しかし、「コンビニのコーヒーしか飲みません」という人はそんなにいないと思います。その意味では、コンビニのカウンターコーヒー愛好者もファンになっていただけると思っています。

――販売はコンビニやスーパーですか?

販売は全国のコンビニエンスストアと交通チャネル(ニューデイズなど交通機関にあるショップ)のみです。自動販売機での展開も予定していません。


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