本記事は、節約オタクふゆこ氏の著書『お金はこれで増やせます 失敗したくない人のための投資の教科書』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
米国高配当ETFのメリットとデメリット
最大のメリットは「ほったらかし」にあり
日本の高配当株投資では、財務分析から銘柄選びまで自分で行うことが基本です。もちろん、プロのような緻密な分析はできませんが、相応の時間と労力がかかることは間違いありません。
その点、米国高配当ETFは圧倒的に楽です。なぜなら、すでに優良な高配当株が厳選されているだけでなく、利回りが下がった銘柄などは、ファンド側で自動的に入れ換えてくれるからです。要するに、自分で分散投資を考える必要がないということです。
インデックスファンドと同様に、投資したあとはほったらかしで問題なし。この「手間がかからない」という点こそが、最大のメリットです。
そのため、もしこれから本格的に投資を始めたい人が「まずは高配当株投資をやってみたい」と考えるなら、いきなり日本の個別株を選ぶよりも、米国高配当ETFからスタートするほうがハードルはぐっと低くなるでしょう。
米国高配当ETFのメリットはこれだけではありません。ここから、3つのポイントに分けて見ていきましょう。
① 運用コスト(信託報酬)が安い
ETFを含む投資信託には、運用の手数料として「信託報酬」がかかります。これは意外と見落とされがちですが、長期投資ではじわじわ効いてくる隠れコストです。
安いものでは年0.1%を下回りますが、高いものでは年2.5%にもなります。
ファンドの保有残高に対して信託報酬率がかかるため、例えば信託報酬2%のファンドに100万円を投資した場合、年間で約2万円が手数料として差し引かれます(実際には現在の残高の2%を365で割った手数料が毎日引かれていきます)。
つまり、期待リターンが5%あるファンドでも、信託報酬が2%であれば相殺され、実質的な期待リターンは3%に低下してしまうのです。信託報酬は「リターンを食うコスト」なのです。
その点、インデックスファンドは信託報酬率が低く優秀です。
投資運用会社からすれば、インデックスに沿って売買を行うだけなので、リサーチや分析などの手間が少ないからです。
例えば、わたしが保有している「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬率は、年0.05%ほどです。そのくらい低い数字になると、もはや気にならないレベルです。
米国高配当ETFも同様に、信託報酬が低い傾向にあります。0.1%を切るものも多く、コストパフォーマンスの高さは大きな魅力です。ただし、すべての高配当ETFが同様というわけではないので、購入前にしっかりチェックしましょう。
② 年4回の配当がある
日本の個別株の配当は、年1回から2回が一般的ですが、米国株では四半期ごと、つまり年4回の配当が基本です。米国高配当ETFもその慣習に倣い、年4回配当がスタンダードとなっています。
もちろん、回数が多いからといって年間の総額が増えるわけではありません。ですが、3カ月ごとに口座に配当金が振り込まれるという“定期的なご褒美”は、投資のモチベーションを大いに高めてくれます。
③ 「タコ足配当」の心配がない
一部の投資信託には、運用益が出ていないのに投資家から預かった元本を切り崩して配当を出す「タコ足配当」という悪習があります。タコが自分の足を自分で食べる習性があることからそう呼ばれています。
一見、配当金がもらえて嬉しいように思えますが、実際にはファンドの資産総額が下がり、ファンドの基準価額が下がるので投資家にとってもマイナスです。
しかし、高配当ETFはタコ足配当とは無縁です。組み入れている個別株から得た配当金のみを投資家に分配する仕組みのため、ファンドは元本の切り崩しができないからです。
見逃せない「為替リスク」と「外国税」
インデックスファンドは国内の証券会社から購入するため、円建てで購入することができます。一方、米国高配当ETFは株式市場を通じて米ドル建てで取引されます。
つまり、日本円をドルに替えて購入し、売るときは再び円に替えることになります。
このとき注意したいのが、為替の動きです。円安のときに買えば高値掴みになり、円高のときに売ると資産が目減りしてしまう――。たとえ株価が上がっていても、円安で買って円高で売ると、生じていた含み益が帳消しになることもあるわけです。
売却益ではなく配当金を目的とする以上、為替差による損益を極端に気にしても仕方ありませんが、買う際には為替相場が不利なタイミングでないことを意識しておくといいでしょう。
特に、ETF購入時のドル転(円をドルに替えること)のコストを抑えるには、証券会社や銀行の為替手数料を比較検討するのも重要なポイントです。
為替変動リスクが常に存在する以上、そのリスクを低減するためには、すべての資産を日本円で持つのではなく、米ドルも資産として持ち、米ドル建ての資産は米ドルで売買し続けられるようにすることも賢明なアプローチといえます。
また、米国高配当ETFの配当金には、米国内で10%の外国税が源泉徴収されます。NISAの「成長投資枠」で購入していた場合、国内での20.315%の税金は非課税ですが、外国税には適用されません。
もしNISAを使っていない一般口座・特定口座で保有している場合は、外国税と国内税の「二重課税」となります。この場合は、確定申告で一部を控除することが可能です。
ただし、確定申告の手間を考えると、二重課税を避けるためにも、配当目的の米国ETFはできる限りNISA口座内で保有することが基本戦略となります。NISA口座の場合、控除はできませんが、国内課税がゼロになるメリットは非常に大きく、外国税10%分のみが実質的な税負担となることを理解しておきましょう。
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