本記事は、節約オタクふゆこ氏の著書『お金はこれで増やせます 失敗したくない人のための投資の教科書』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
日本高配当株投資のメリットとデメリット
最大のメリットは株式投資を楽しめること
ここからは、わたしの個人的な感想だけでなく、客観的な視点で日本高配当株投資のメリットとデメリットをまとめます。
●メリット① 定期的なキャッシュ・インフローが心の安定につながる
インデックス投資は長期的に資産を増やすには最適ですが、あくまでも長期投資ですから、目標金額や目標期間に達するまで取り崩さないことが一般的な戦略です。
そのため、自分のいまの生活から資金が流出(キャッシュ・アウトフロー)する割に流入(キャッシュ・インフロー)がなく、株式投資のメリットを実感し難いところがあります。また、市場が大暴落を起こせば一瞬で画面上の資産が半分以下になることもあり、精神的なダメージを受ける可能性は十分にあります。
一方、高配当株投資の最大の魅力は、定期的に現金(配当金)が入ってくることです。これはインデックス投資では味わえない喜びであると同時に心の安定剤にもなり、投資のモチベーションも上がります。
また、高配当株投資を地道に続けて元本が大きくなっていけば、将来的に毎月数万円の配当金が入ってくる仕組みを構築することだって夢ではありません。
生活費の足しにしたり、旅行や趣味に使ったり、自由に使えるお金が増えるのは嬉しいポイントです。インデックス投資のゴールに至るまでの過程で、生活を豊かにし、精神的なゆとりを生み出してくれるのです。
●メリット② 収益が予測しやすい
高配当株の収益は、主に以下のふたつで成り立っています。
・キャピタルゲイン(売却益)
株価が上がったときに、買った値段より高く売却することで得られる利益です。インデックス投資は、このキャピタルゲインが収益の源となります。株式投資では一般に使われる言葉なので、初めて知った人は覚えておいてください。
高配当株でも株価が上がれば利益になりますが、そもそも高配当株は利益を配当に回して株主に還元するので、成長率は緩やかな傾向にあります。キャピタルゲインは副次的なものと考えたほうがいいでしょう。
どっちの利益も得ようとするより、安定した配当収入を得ることに焦点をあてることが成功のカギです。
・インカムゲイン(配当金)
こちらが高配当株投資の主役です。企業が事業で得た利益の一部を株主に還元する配当金は、持っている株数に応じて年1回から2回、定期的に支払われます(配当金の受け取り方法には証券口座への振り込み、銀行などでの現金受け取りなど、いくつかありますが、NISAによる非課税の恩恵を受けるためには「株式数比例配分方式」を選択する必要があります)。
企業は多くの場合、期初に当期末の業績見込みと合わせて配当見込みを表明します。
第2四半期決算を迎えたところで、業績が見込み以上によく上方修正となれば、配当金を増やす「増配」に、逆に業績が下方修正となれば配当金を減らす「減配」になり、配当しない「無配」が発表されることもあります。
この配当金の大小は、「配当利回り」という指標で表現されます。
例えば、1株2,000円で1株あたりの年間配当が80円の銘柄なら、配当利回りは4%。100株保有すれば、投資額20万円に対して年間8,000円の配当が入ります。
配当利回り(4%)= 年間配当金(80円)÷ 投資元本(2,000円)
この「配当利回り」を使って計算することで、将来的にほしい配当収入を得るために必要な元本が見えてきます。例えば、「将来の生活費として月々2万円、年間で24万円の配当収入を得たい」と目標を立てた場合、次のように計算します。
年間配当金(24万円)÷ 配当利回り(4%)= 投資元本(600万円)
つまり、配当利回り4%の株に600万円を投資できれば、理論上は年間24万円、月平均で2万円の配当金を得られるということです。ただし、株価も配当額も毎年変わりますから決して一定ではありません。それでもまずは、高配当株投資が600万円になることを目指して取り組んでいけばいいことがわかります。
キャピタルゲインは株価に委ねられるため予測不可能であり、将来的に「いくら収益を上げられるか?」がわかりにくいものです。インデックスファンドもそうですし、個別株で売却益を狙う場合はなおさらでしょう。
一方、配当金などのインカムゲインは株価よりは予測しやすいものです。絶対ではありませんが、企業が事前に配当額を発表していますし、業績が安定していれば配当額は翌年度も維持・増配される可能性が高いからです。また、近年では業績が一時的に下がっても、配当額は維持する傾向があります。
そのため、長期的に保有した場合に期待できる毎年の配当収益が予測しやすい点は、メリットといえるでしょう。
●メリット③ 「慣れ」によって知識が深まる
高配当株投資は元本が大きいほど効果が出ますが、少額でもはじめる価値があります。少額からはじめると、最初は「これって本当に意味あるのかな?」と思うかもしれません。しかし、銘柄を選び、企業の成長を見守る体験を通じて投資への慣れと知識が身につきます。インデックス投資では得られない深い学びを与えてくれるでしょう。
わたし自身も、高配当株投資をはじめた当初は不安だらけでしたが、半年、1年と続けるうちに、自分なりに「失敗しない銘柄選び」ができるようになっていきました。
この実体験から考えると、65歳以上の高齢期から株式投資をはじめる場合でも、高配当株投資はありだと思います。仮に65歳からはじめて、2年程度で慣れるとしてもまだ67歳。「人生100年時代」ともいわれるなか、月々の年金生活に配当金をプラスアルファできれば、よりゆとりのある生活を目指せるからです。
やっぱり「手間」と「リスク」はつきもの
高配当株投資には魅力がある一方、インデックス投資のように「放っておいてOK」というわけにはいきません。リスクと適切につきあうには工夫と手間が必要です。
ただし、きちんと対策をしてデメリットを軽減する方法はあるので、ポイントを押さえて見ていきましょう。
●デメリット① 分散投資が難しく手間がかかる
インデックス投資なら、たった1本の投資信託で世界中の何千社にも分散投資ができますが、高配当株投資は自分で銘柄を選び、複数の企業に投資していく必要があります。
仮に100万円の資金があったとしても、単一の銘柄に集中投資してしまうと、その企業が業績悪化で「無配(配当ゼロ)」になれば、配当も株価も一気に下がってしまいます。だからこそ「分散」が望ましいのですが、最初から何十社にも分散するのは資金的にも知識的にもハードルが高いはずです。
そこで役立つのが「単元未満株」です。これは、株式取引における最低売買単位(単元)である100株に満たない株数の株式のことで、1株単位で購入することができます。
株主総会での議決権や株主優待などはもらえませんが、1株でも配当金は受け取れるので、1株単位で20銘柄、30銘柄と分散させることが可能になります。
わたしもはじめたばかりの頃は、高配当株投資家が推奨する銘柄リストのなかから、手が届く価格で財務が健全なものを選んでいました。最初に買ったのは、当時1株が5,000円くらいだった沖縄セルラー電話の2株です。そこから数千円ずつ分散して、1カ月で10銘柄弱、1年ほどで30銘柄までコツコツと分散していきました。
当時の総資産額は500万円ほどでしたので、無理のない範囲で少しずつ進めていったのです。
最近では、定番の優良大型株でも株価が手頃なケースがあります。例えば、NTTは2023年に25分の1の株式分割を行ったため、2025年9月時点で株価は約158円です。つまり、100株買っても1万5,800円程度で足りる計算です。こうした「買いやすい優良銘柄」から少しずつはじめるのもおすすめです。
●デメリット② 「減配」と「株価下落」のリスクがある
高配当株は、毎年安定して配当金を出し続けてくれることが理想ですが、現実には業績悪化で「減配」や「無配」になることも珍しくありません。そうなると配当収入が減るだけでなく、株価も下がってしまい資産の減少にもつながります。
また、配当利回りがやたら高い銘柄にも注意が必要でしょう。一見お得そうに見えても実は業績が不安定で余力がなく、配当を維持できない「危険な高利回り株」という可能性もあるからです。
高配当株投資は、ただ「利回りが高い株を買う」のではなく、将来にわたって安定して配当金を出し続けてくれる、優良な企業を見抜く力が求められます。
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