毎月分配型投資信託,タコ足分配 (写真=PIXTA)

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毎月分配型投資信託が「密かな喜び」として人気の理由

2014年1月から導入された少額投資非課税制度『NISA』に照準を合わせた金融・証券業界のキャンペーンによって、一時はヒートアップした個人投資ブームも、今ではひと段落したようにみえる。

そんな中、9月初旬にある経済紙は、「ピーク時には株式投資信託全体の約7割を占めていた毎月分配型が、現在、その割合は5割近くまで減少」としながらも、「毎月分配型の人気は相変わらず根強い」と報じている。


投資信託にはどんな種類があるのか?

投資信託は、大きく分けて株式を中心に運用される「株式投資信託」と、債券を中心にした「公社債投資信託」に分かれる。その中で、投資信託の決算に際して分配金が支払われる「分配型投資信託」は人気が高く、商品によりその分配頻度は1カ月・隔月・3カ月などさまざまだが、やはり分配頻度が最も高い「毎月分配型」の人気は、相変わらず根強いようだ。


毎月分配型投資信託のメリット・デメリット

毎月分配型投資信託のメリットとしては、1カ月ごとに決算を行い、決算ごとに収益などの一部を分配金として投資家が受け取れる仕組みで運用されているため、運用を続けながら、「運用成果を分配金として毎月受け取りたい」という投資家のニーズを掴んだ商品といえる。そのため、年金の足しにしたり、毎月の生活費やお小遣いの一部に充当するなどの目的で商品を保有している投資家が多い傾向にある。

一方の注意点としては、分配金は投資信託の純資産の中から支払われ、運用状況に応じて金額は変動する点にある。決算ごとに必ず分配金が支払われるわけではなく、一定金額が保証されているわけでもない。そのため、毎月分配型投資信託で運用する場合には、分配金が支払われる仕組みをよく理解した上で投資を検討する必要がある。

また、投資をする上で運用効率の面から考えても毎月分配型は、運用によって生じた利益を払い出しているため、「複利の効果」を放棄しているともいえる。税制面からみてみ普通分配金の20%が源泉徴収されるため、資産を増やす現役世代には不向きとなるだろう。

毎月分配型投資信託にはメリットがあり、必ずしも悪いというわけではないが、以下ではデメリットの面に焦点を当てて解説していく。


「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の大きな違い

分配金は金融機関などの預貯金の利息とは異なり、投資信託の純資産の中から支払われる。そのため、分配金が支払われることによって、投資信託の値段である「基準価額」はその分配金額分だけ下がる。

そこで重要になるのが、単なる毎月の分配金の金額ではなく、分配金の支払いに伴って基準価額がどのように変動するかなのである。前期決算日から当期決算日(分配後)まで保有した場合の投資信託の損益、つまり、分配金額と基準価額の騰・落の合計額で「損益」を判断することが重要になってくるのだ。

資産の利子や配当などの収益や、有価証券の売買・評価益によって発生した収益の中から支払われる分配金は「普通分配金」と呼ばれ、基準価額が下落することはない。

一方で、当期の収益を超えて支払われる分配金は「元本払戻金(特別分配金)」と呼ばれ、その差額分、基準価額が下落することになる。

このような、分配金の源泉が元本(投資家が支払った資金)から払い戻しとなっている投資信託は「タコ足分配型」と呼ばれることもある。これは、タコが自分の足を食べる様からそのような名前がついている。

たとえば、当期決算日に基準価額が50円上昇したとしても、分配金額が100円であれば、基準価額は50円下落することになる。また、当期収益が100円の損失で基準価額が100円下がり、分配金が100円であれば、分配金受け取り後の基準価額は200円値下がりするのだ。投資信託の選択基準として、分配金額の大小で商品価値を判断すべきではないことがわかるだろう。

加えて、分配金額は、単月の金額だけではなく年間の分配金総額として捉え、1年の利回りも考慮に入れる必要がある。たとえば、年間の分配金額合計が360円と仮定すると、基準価額が5000円と8000円の投資信託では、それぞれ利回りは大きく異なる。5000円の商品の利回りは7.2%(360÷5000×100)で、8000円の商品の利回りは4.5%(360÷8000×100)となる。

このように、同額の分配金でも基準価額が低い商品の方が分配金の利回りは高くなる。利回りの高い投資信託は、運用資産の金額に対して多くの分配金を受け取れる、高配当な投資信託といえるのだ。

毎月分配型の投資信託は、運用成果を月ごとに確認でき、一定の生活費の確保や年金の補完として利用する目的で選択する商品としては最適だろう。また、毎月の分配金を受け取らず再投資に回す方法もある。

だが、分配金(普通分配金)には源泉税が課され、税引き後の額しか再投資できないので、投資の運用効率は低下する。これに対して、一部の証券会社では分配金を受け取らずに再投資に回せる選択を設けたコースも設定している。


タコ足型の投資信託を見抜くポイント

分配型投資信託商品は、分配金額と利回りの関わりに留意する必要があることはご理解いただけただろう。毎月分配型の投資信託で最も注意すべきポイントは、分配金と利回りにおける「正味の値」を知ることだ。前述したように、「分配金」には、分配金を元本から切り崩して支払う「落とし穴」が隠されていることがあるので、注意が必要だ。

高い分配金を受け取っていても、損益によって基準価額が下落した場合は、「正味の分配金」は、その分配金から基準価額の下落額をさしい引いた額となる。その上で、年間を通した「正味の分配金」を算出して、1年前の基準価額で割って利回りをはじき出せば、「正味の利回り」もわかるはずだ。

分配金以上に基準価額が上昇している場合は、分配金は収益から賄われているので問題はないと考えていい。しかし、基準価額が下落している際は要注意なのだ。毎月分配型投資信託は、つい「目先の分配金」にばかり目を奪われがちだが、基準価額と変動と分配金を含めた累積の損益を示す「トータルリターン」の視点でチェックし、運用の実態を把握することが肝要だろう。本来なら運用益から出る配当金が大事な元本から分配されている、「タコ足分配」には注意だ。(ZUU online 編集部)

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