日本郵政上場
(写真=Getty Images)

2015年最大のIPO案件、日本郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)の上場日が11月4日に決定した。売出株数は日本郵政が3億9600万株、ゆうちょ銀行が3億2995万3800株、かんぽ生命保険が5280万株で、売出総額は1兆円をゆうに超える見込みだ。

今後、仮条件決定、ブックビルディング(抽選申し込み)、売出価格決定、購入申し込みと続き、11月4日に受け渡しとなる。

ところで相場の格言に「政策に売りなし」というのがある。国の政策の追い風に乗るような業種や銘柄は値上がりしやすいから売るべきではないことを示す。上場日が迫り個人投資家の期待が高まる一方で既存事業の成長性に疑問の声もある郵政3社は、この格言に当てはまる長期保有向け銘柄になりうるだろうか。


郵政グループ、4つの大きな経営資源

郵政3社の魅力は何といっても安定性と「元国営」という圧倒的な信頼・ブランド力にある。「元国営」で上場したNTTやJR各社、JTの健闘ぶりを見れば、上場するからには倒産しないだけの「何か」が外的要因を含めて各社にあったということがいえるだろう。

3社の株式は、配当性向が高めで配当率も安定性を加味すれば悪くないリターンといえる。実際に各マスコミが伝える1株当たりの想定価格(日本郵政1350円、ゆうちょ銀行1400円、かんぽ生命保険 2150円)を基準にして、2016年3月期予想の1株当たり純利益と期末配当から3社の配当性向と配当率を計算すると、日本郵政が配当性向27%・配当率1.7%、ゆうちょ銀行が同29.3%・1.8%、かんぽ生命保険が同40%・2.6%となる。

また既存の商品・サービスでの成長は限界が見えるものの、郵政グループには4つの大きな経営資源があることを忘れてはならない。

1つ目はゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が抱えるばく大な預かり資産。2つ目はセブンイレブンの店舗数を上回る2万4155件の郵便局数。3つ目は日本郵政の子会社・日本郵便(非上場)の配達網。4つ目は社員約40万人という日本郵政グループの人的資源。

既存の規制があり「何でもできる」とはいかないが、規制緩和が進めばいずれもがグループ成長のカギになりうる。

また日本郵政はゆうちょ銀行株・かんぽ生命保険株の売却益を自社株買いに充てる方針だ。大量保有する自社株は今後の方針次第で企業買収に使われる可能性もあり、今後の行方を注視したい。

今回売り出される株式の大半は個人投資家を対象にしているのが特徴で、全国各地でも個人投資家向け投資説明会が開催されている。高いリターンを期待するベテラン投資家には物足りない配当率だが、預金や定期預金の代替で検討する新規顧客には昨今の低金利と比較して十分に魅力ある投資先と映るだろう。


次のページ>>電力株の「お株」を奪う?