欧州における外資系生命保険会社のプレゼンス

◆全体の状況

欧州における外資系生命保険会社のプレゼンスを見る上においては、米国や日本との関係では、欧州あるいはEU全体での外資系あるいはEU域外会社の状況を把握できればよいが、データが限定されていることから、ここでは取得可能なデータに基づいて報告する。

まずは、欧州の生命保険市場の進展状況を見てみる。2003年から2013年の10年間で、Insurance Europe(*4)加盟の32カ国で、総資産に近似するものとしての投資資産(Investment Portfolio)が約1.6倍に拡大しているが、これは年平均増加率4.9%に相当している。

総資産で見た場合の米国と日本の同時期の年平均成長率の数値は、2、3の表で示されているようにそれぞれ9.6%と2.7%であることから、欧州の生命保険市場は、過去10年間において米国と日本のほぼ中間レベルの水準で成長してきたことになる。

欧州における生命保険市場の進展状況

◆欧州主要国における状況

次に、欧州主要国における外資系保険会社のプレゼンスをOECDのデータから見てみる。ここで、会社数は生命保険会社のみを対象にしているが、収入保険料は生命保険・損害保険等合算の数値である。各国とも外国及び外資系保険会社の構成比が収入保険料で2割~3割程度あるが、ここでの外資系保険会社は、自国以外の欧州各国からの保険会社が殆どである。

北米の大手保険会社も、欧州各国に子会社を有して生命保険事業を展開してはいるが、各国における上位保険会社のシェア等から判断すると、今のところ生命保険市場においては大きなプレゼンスを有していない。

欧州主要国における外資系生命保険会社の状況

◆親会社国別の状況

親会社国別の状況については、データの制約上、ドイツの収入保険料ベースのみで見てみる。さらには、現時点では2010年、2011年、2012年の3ヵ年のデータしか公表されておらず、この間の大きな変化も見られないため、2012年のデータのみに基づいて報告する。

ドイツでは、他のEU諸国と同様、EU及びスイス資本の生命保険会社が重要な位置付けを占めており、これらの会社の収入保険料は全体の24.9%を占めている。

なお、下記の数値はあくまでも、ドイツに設立された保険会社のみを対象とした数値であるが、これ以外に、2013年度ベースで、ドイツで支店を設立している会社が20社(EEA(欧州経済地域)(*5)から18社、それ以外の国から2社)、(EUのサービス提供の自由に基づいて)外部からのサービス提供により、ドイツで保険契約を獲得しているEEAからの保険会社が、生損保合計で900社程度存在している。

こうした形での外国保険会社による収入保険料が、(直近公表ベースの)2011年度の生命保険で、4,888百万ユーロ(収入保険料の5.6%、その内訳:支店設立2,261百万ユーロ、外部からのサービス提供2,627百万ユーロ)となっている。これらを合わせると、外国及び外資系生命保険会社が、収入保険料において3割程度のシェアを占めていることになる。

ドイツにおける外資系保険会社の状況