(写真=PIXTA)
【知って得する! 不動産を活かした生前の相続対策①】
2015年1月の税制改正で相続税への関心が高まっている。「富裕層いじめ」とも呼ばれるこの大増税時代を賢く生き抜くにはどうしたらよいのだろうか。連載「知って得する! 不動産を活かした生前の相続対策」では隔週土曜に全8回にわたり、相続対策の専門家である曽根恵子さんに実例を交えて不動産を使った相続税対策を解説してもらう。第1回となる今回はなぜ「不動産」「生前」が節税のカギとなるのかを考える。
不動産があるから相続税がかかる
相続税を節約したいとき、まず頭に浮かぶのは「現金贈与」ではないでしょうか。一番手っ取り早く、すぐにでもできるためです。例えば、毎年110万円ずつ贈与していけば10年で1100万円が非課税で贈与できます。贈与税も相続税も払うことなく財産が配偶者や子供に渡せるのです。
しかし相続税がかかる方の多くは、財産のうち現金よりも不動産の占める割合が高いというのが現状です。しかも千万単位、億単位で相続税が課税されるので、現金贈与のような少額ではなく、大きく節税できる方法を考えなくてはなりません。
不動産があるから相続税がかかり、納税が難しくなる。しかも不動産は個々に条件が異なり、評価が難しい。不動産があると遺産を分けにくく、トラブルのもとになりやすい……。などなど、相続では不動産の知識がないと節税もできずにトラブルのもとを作りやすいのです。
不動産の評価額はいくら?
一方、不動産を活かすことで、大幅に節税することができるともいえます。
例えば、1億円の現金と1億円の不動産では、どちらの相続税が少ないでしょうか。現金は額面通り1億円だと評価され、課税されるのに対し、不動産では事情が異なります。不動産は時価よりも低い路線価や固定資産税評価で評価されるのです。
一般的な評価額は、土地は公示価格の70%、建物は建築費の50~70%ほどとされています。ただし実際の評価はこの割合以下のことが多く、時価の半分以下になるイメージです。
もし生前に現金を不動産に変えていれば、評価額がはるかに下がり、結果として大幅な節税につながります。