Bar Graph Analysis Achievement Improvement Strategy Success Conc
(写真=PIXTA)

世の中にはさまざまな相続税対策があふれているが、中でも節税効果が特に大きいものに「広大地評価」がある。ざっくりというと広い土地は評価が下がり、あまり相続税がかからないというものである。土地は広ければ広いほどいいようにも思えるが、なぜ評価が下がるのだろう。

「小さくて手頃」な方が需要が多い

まず広大地評価の対象となるは、一般より広い土地(三大都市圏で500平方メートル以上、その他の場合1000平方メートル以上 )である。

より正確にいうと、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいう 。ただし、大規模工場用地(5万平方メートル以上)に該当するもの及び中高層の集合住宅などの敷地用地に適しているものは除かれる 。

かみくだいて言えば、宅地においては、広すぎると価格が高くて購入する人が少なくなり、結果として土地の値段が下がることから、その実態を税法の評価にも反映させる、ということである。宅地については、「広くて高額」よりも「小さくて手頃」な方が、需要が多く評価額が高くなるのだ。世田谷区に東京ドーム1個分の土地を500億円で販売しても誰も買えないということだ。

また、一定以上の広い面積の土地に建物を建てる場合には、道路等の公共設備との調整が必要となり、行政庁に開発許可を取る必要がある。こうした負担もあることから、評価減が認められる。

ただし工場やマンションを建設する場合には、ある程度の広さが必要となるため、広いことが土地の評価を下げることにはならず、評価減が認められない。ちなみに、「都市計画法第4条第12項に規定する開発行為」とは、建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう。

評価額は最大65%カット

評価減は次の算式で求められる 。
広大地の価額 = 広大地の面する路線の路線価 × 広大地補正率 × 地積広大地補正率 = 0.6-0.05×(広大地の地積÷1000平方メートル)

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格をいう 。広大地の地積は最大5000平方メートルとされているので、補正率は最大で0.35となる 。つまり、最大で通常の土地の価格の65%もカットになる。これだけ大きな額を節税できるのだから、要件に該当する場合には使わない手はない。

実際の評価は難しい

もっとも、土地は1つとして同じものはなく、地域や環境によって価格も大きく異なるので、広大地の評価は難しい。例えば、例外規定であるマンション用地の適用除外では、どのような場合にマンション適地とされるのかは明確ではない。

この点について国税庁は、2004年に資産評価企画官情報により解釈指針を示している。それによると、①その地域の標準的な使用目的が戸建なのかマンションなのかということを判断し、戸建目的と考えられる場合には広大地に認定される。もしその判断が難しい場合には、②その地域の容積率が200%かどうかで判断し、200%未満であれば広大地として認められる。それでも判断がつかない場合には、明らかにマンション用地に適していると認められる土地でない限り、広大地として認めてよいとされている 。

広大地の適用要件をまとめると、①大規模工業用地に該当しない、②中高層のマンション用地に適していいない、③標準的な宅地に対し著しく広大である、④開発する場合道路などの公共施設の負担が必要である、ということになる。ただし、実際に広大地として認められるか否かの判断は難しいところもあるので、不動産分野に強い税理士か、不動産鑑定士と提携している税理士など、専門家に相談ことをお薦めする。(ZUU online 編集部)