(写真=PIXTA)
子どものうちから正しい経済感覚やお金の仕組みを学ぶ「金融リテラシー教育」が近年、世界各国の学校教育カリキュラムに取り入れられている。ただ子どものうちから金融リテラシー教育を施す効果については一部、疑問も出されている。金融リテラシー教育を義務教育に取り入れる米国で、10代の若者の経済観念は平均レベルであるという結果が出たためだ。
米英では義務教育のカリキュラムに
金融リテラシー先進国として代表的なのは、発祥地であるイギリスと経済大国を自負するアメリカである。英経済協力開発機構(OECD)は 2003年、金融リテラシーを政策の一部として導入した。経済に対する社会の関心が高まるにつれ、オーストラリア、カナダ、日本、アメリカなどでもNPOや公的機関が金融リテラシーの促進活動を行うようになった。日本では金融広報中央委員会(日本銀行)が2005年から社会人と学生を対象にしたリテラシー教育に力を注いでいる。
米英両国ともに金融リテラシー教育を義務教育のカリキュラムに組み込んでいる上、社会人向けのセミナーや生涯学習の金融リテラシーコースも充実している。つまり人生のどの時点においても健全な経済感覚を身につけるためのチャンスが与えられている点が他国よりも一歩先を行っている。
ところが米国際学習到達度調査機関『PISA』が近年実施したアンケートでは、アメリカの10代の若者の経済観念は平均レベルであるという結果が出た。また15歳のうち18 %は基礎的な質問に回答することが出来ず、日常的なタスク(請求書の見方など)への理解力に欠けていることが判明した。