(写真=PIXTA)
社会保障と税の共通番号(マイナンバー)の利用範囲を広げる改正マイナンバー法が成立し、10月からはいよいよ12桁の番号を記した「通知カード」の郵送が始まった。いよいよ動き出したマイナンバーに不安を感じている人も多いはずだ。預金口座とマイナンバーを結びづける「ひもづけ」により、複数の口座を持つ個人の貯蓄額も正確に把握できるようになることから、資産家を中心に関心が高まっている。
生活保護不正受給を見破る
新聞や週刊誌の見出しに「資産の中身が丸裸に!」「個人の副業が会社にバレる!」といった言葉が躍っているが、そもそものマイナンバーの目的は、行政の効率化、国民の利便性、公平・公正な社会の実現だ。しかし、国民一人ひとりの給与や年金、報酬、扶養情報、そして預金口座までも一元管理するのは、効率的に税務調査を行える環境を作り上げ、脱税を防ぎ税収を増やすためなのが本音であるのは間違いない。
ごく普通のサラリーマンがこの制度により不利益を被ることはまずないだろう。なぜなら、給与所得はそもそも丸裸の状態であり源泉徴収されている。現在でも不正が行える余地はそこにはない。この制度の導入に戦々恐々としている人は何らかの不正を行っている人やまっとうな税金対策を行ってこなかった人だ。
最近、大きな問題となっている生活保護の不正受給。収入があるにもかかわらず生活保護を受けているケースでは不正を見破ることが容易になるだろう。このような悪質な不正が露見しやすくなるなら、その点は大いに歓迎すべきだ。
問題はまっとうな税金対策を行ってこなかった人だ。この中には必ずしも悪意とはいえないケースもある。「生兵法はケガのもと」ということわざがあるように、正確な知識がないままに、中途半端な対策を講じたことがあだとなることがある。