(写真=PIXTA)
全国各地のマンションで、自分たちのマンションが傾いていないかどうかの不安が広がっている。三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市のマンションが杭の施工不良で傾いていたということが社会問題になっている。騒ぎが大きいだけに、自分のマンションも大丈夫かどうか気になるところであろう。
日本建築学会の報告によれば、1/100(約0.6°)の傾きでめまいや頭痛が生じるなどの健康被害も報告されている。今回は、簡単にマンションの傾きを確かめる3つの方法をご紹介しよう。
傾きを確かめるのはプロでも難しい
まず、プロでもマンションが傾いているかどうかを判断するのは難しい。
今回の横浜のマンションの問題であるが、三井不動産レジデンシャル自身も杭の施工不良までは把握できなかったと思われる。もちろん、住民からマンションの傾きに関してのクレームがあったにもかかわらずその後放置してしまった対応は問題だが、三井住友建設を信じるしかない。
さらに三井住友建設も杭工事を発注した旭化成建材を信じ切るしかないという構造だ。三井不動産レジデンシャルは売主としての責任はあるものの、ある意味、瑕疵物件の請負工事をされてしまった被害者と言って良いだろう。
ましてや今回のケースは一部の杭が支持層に達していなかったということで、徐々に傾いていった訳であるから、新築当初しか関わらない三井不動産レジデンシャルはその傾きを知る由もなかったであろう。このようにプロでも傾きは分からないというのが実態であるが、ここでマンションの傾きを素人でも簡単に把握する方法をご紹介したい。
1つ目はビー玉
まず1つ目に良く言われる手法であるが、ビー玉の転がし確認である。ビー玉は床材の材質によって転がったり転がらなかったりするため、正確な傾きは分からないが、とりあえずの判断材料としては有効である。
一般的には1000分の5以上の傾きでビー玉が転がると言われている。上述の日本建築学会の報告によれば、5/1000(約0.29°)の傾きであれば、傾斜を感じる程度であり、健康被害は報告されていない。そのため、何となく転がる程度であれば騒ぎ立てる必要は無いだろう。また傾きの測定で重要なのは計測幅である。3m以上ビー玉が転がり続けるようであれば、傾いている可能性はあるが、あまり短い距離の中だけでしか転がらない場合は、たまたま仕上げ材が傾いているだけの可能性があるため、早急に判断をしない方が良い。
2つ目はスマートフォン
2つ目に紹介する方法としては、水平器だ。ただ水平器をわざわざ購入するのは少し馬鹿々々しい気がする。そこでお勧めなのが無料のスマフォアプリだ。実はスマフォの中には傾きを知るためのジャイロセンサーというものが搭載されている。このジャイロセンサーを用いて水平を図るための様々な無料アプリがあるのだ。
ただし、水平器も多少欠点がある。住宅の傾きは3m以上離れたところで測定しないと正確性が出ないため、数十センチの範囲しか測定できない水平器はやはり正確性に劣ってしまう。そのためビー玉と併用して3m以上ビー玉が転がるかどうかも併せて検証するのが良い。