電通ダイバーシティ・ラボが調査・発表した「LGBT調査2015」によると、LGBTだと自認する人は全体の7.6%にあたり、13人に1人以上を占めるという。職場で机を並べている同僚の中にLGBTがいてもおかしくない。


日本の職場環境は世界でも突出してLGBTに閉鎖的

オランダの総合人材サービス会社ランスタッドが発表した労働意識調査で、日本は世界各国と比べて職場における多様性やLGBTの受け入れに対して閉鎖的環境であることが分かった。世界34の国・地域の18~65歳を対象に実施された。

「職場の多様性は大切であると思う」に同意する日本人は82.5%で、グローバル平均の87.2%と大差なかったが、「現在の勤務先には、オープンで多様性を受け入れる企業文化がある」では日本人64%に対してグローバル平均は76.8%(日本は34カ国中最下位)。

さらに「現在の職場では、性的マイノリティー(LGBT)は差別の対象にならない」では日本人は53.3%(同33位)が「差別対象になる」と答えており、グローバル平均の24%と比べてかなり多い。頭では多様性の重要性を認識しつつも、いまだ閉鎖的で実態が伴わない状況が浮き彫りとなった。

また「性的マイノリティーの同僚が一人以上いる」には、日本人は17%で調査国の中で6番目に少なく(グローバル平均が25.9%)、「性的マイノリティーの方が仕事を見つけるのは難しい。」という項目には日本人の50.9%が「難しくない」と答えており、これは34カ国中、最も楽観的な数値だった(グローバル平均は66%)。


LGBTの57%が職場で差別的言動を受けたと感じている

オープンでない職場環境のためにLGBTに気づかず、彼・彼女らがどのような問題を抱えているかを知る機会も少なく、それゆえに理解が深まっていない状況が想定される。

逆にいえば、このような職場環境のためにLGBT当事者が「公表していない」もしくは「公表しづらい職場の雰囲気から、周りが気づいていない」だけだと同調査では指摘、LGBTの人たちが職場で人知れず孤立している可能性があると警鐘を鳴らしている。

NPO法人「虹色ダイバーシティ」と国際基督教大学の調査では、LGBTの57%が職場で差別的言動を受けたと感じ、職場でのストレスから心身の体調を崩したり、退職を余儀なくされたりしていることが明らかになっている。

そんな企業は100人に4人以上の人材を無駄にしているばかりか、その家族や周りのコミュニティを含めると無限の人々に閉鎖的な企業というイメージを持たれかねないのだ。