個人年金
(写真=PIXTA)

老後資金として、個人年金保険への加入を熱心に勧められた経験を持つ人は、多いのではないでしょうか。老後を公的年金だけで賄うのは心細いとわかってはいても、セールストークほどには個人年金保険が魅力的には感じられないこともあります。そこで、個人年金保険を選ぶ時に気をつけたいポイントを、3つに分けて考えてみました。


個人年金保険の種類

個人年金保険の種類には、大きく分けて定額年金保険と変額年金保険があります。

変額年金保険は、保険会社の運用次第で受け取れる年金金額や、中途解約時の解約返戻金が変動するタイプです。運用実績次第では年金金額が増えますが、リスク型の投資商品です。

外貨建てにすることで運用利率を高めに設定した商品もありますが、為替の変動リスクを含みます。多少利率が高めでも、為替の変動による将来の受取年金金額の目減りを吸収できるとは限りません。また日本円から外貨に交換する時には手数料がかかります。

変額年金保険のメリットは、運用実績次第で受取年金金額が増えるところにあります。デメリットは、リスクの高さです。


払込方法、受け取り方法

個人年金は、年金の受け取り方によって確定年金・有期年金・終身年金の3つのパターンに分類されます。

年金受給者が生存中はずっと支払われる終身年金、5年10年と一定期間だけ年金を受け取れる有期年金、年金受給者の生死を問わず、一定期間年金が支払われるのが確定年金です。夫婦のうちどちらかが年金を継承できる夫婦年金は、終身年金の一種です。

生存中はずっと年金が受け取れる終身年金は受給者にとっては魅力的に映ります。契約時に全期間の保険料を払い込む一時払い終身年金でしかも円建てであれば、支払いと給付の損得勘定も明確です。

しかし支払と給付の関係が明確で貯蓄性の高い商品ほど販売中止となって、現在は姿を消しているのが個人年金保険です。選べない払込方法、受け取り方法がある保険商品には注意しましょう。


セールスポイントが保険料控除しかない商品

個人年金のセールスポイントとして、生命保険料控除をうたっているケースがあります。

生命保険料控除は2012年に改正され、所得税・住民税から差し引かれる適用限度額はそれぞれ縮小されました。所得税の適用限度額は5万円から4万円へ。住民税の適用限度は、3.5万円から2.8万円へと変更されました。

その一方で、個人型の確定拠出年金では、所得税でも住民税でも掛け金は全額保険料控除の対象となります。超低金利下では貯蓄性商品としての魅力に欠け、保険としては死亡保障などの保障性にも乏しいのが個人年金です。保険料の一部は保障として使われるため、早期に解約すると元本割れしてしまいます。


まとめ

個人年金は、早期に解約すると元本割れするなど、余裕資金を前提としています。

定額個人年金はインフレに弱く、インフレにも強い変額個人年金は運用リスクを伴います。今は超低金利下で、運用利回りに期待することもできません。運用利回りで選ぶのなら、年金というネーミングはついていなくとも他の金融商品の方が魅力的です。

一時は0.1%台まで落ち込んだ日本の10年国債利回りも、直近では0.3%台にまで回復したとはいえ、超低金利下から脱していません。保障性と貯蓄性を兼ね備えた個人年金の特性は、超低金利下では生かし切れません。個人年金保険に限らず各保険会社から一時払い商品が復活し、運用環境が改善するまで待ってからでも遅くはありません。(提供: ライブリー 退職金と未来のお金 )

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