銀座百貨店の雄、松屋 <8237> の株価は再上昇が予想される。インバウンド(訪日外国人観光客)需要は衰えを知らず、10月の免税売上高は前年比2倍超のペースで推移している。足元では国内客向けの売上も拡大傾向にあるほか、低下が懸念されていた粗利益率が底打ちしたもよう。長期的にも2020年の東京五輪や、その後の東京のランドスケープを眺望する上で外せない銘柄だ。

今2月期上期(3~8月)の連結営業利益が前年同期比84%増の14億円(従来予想は12億円)に急拡大した同社。しかし、決算発表(8日)後の株価の動きは好業績とは対照的だった。

中国経済の減速を背景に、売上を支えるインバウンド需要の先行き不透明感が増したことに加え、第2四半期(6~8月)の粗利益率低下、国内景況感の悪化といった要素が相まって急落すると、21日には1450円の年初来安値を付けた。8月11日の年初来高値2625円から、短期間で4割超の調整を余儀なくされたことになる。

10月免税売上2倍超に

しかし、実態はこれらの不安をぬぐい去るのに十分だ。同社によれば、中国の国慶節の連休(1~7日)を含む10月の免税売上高(銀座店)は、25日時点で前年比2.2倍。前年の10月は、ちょうど免税品の対象が拡大した時期に当たり高い売上水準だったが、そのハードルを楽々とクリアする勢いがある。このうち宝飾品・時計が同2.7倍、化粧品も同1.6倍近くに伸びているという。

インバウンド需要をけん引する中国人観光客の消費力には、鈍化の色がみられない。一方で見逃せないのが、免税売上以外の販売も伸びていることだ。これは、懸案の粗利益率の動向を占う上でも重要なポイントとなる。