(写真=PIXTA)
今年、平成27年は相続法の大きな改正が施行されました。これまでなら相続税を納めなくてよかったケースで課税されてしまうことが増えています。
ところで、今年は一般の相続人に対して不利な改正だけが行われたわけではありません。バランスをとるために、減税に役立つ法令の改正も行われているのです。宅地(住宅用の土地)が相続財産に含まれている場合は、「小規模宅地等の特例」を利用できるかどうか検討しましょう。
「小規模宅地等の特例」とは? 何のために使われる法令?
宅地を相続する場合にこの特例を利用すると、納付しなければならない相続税を減らしてもらうことができます。減額の範囲については、宅地の種類によって変わります。
1.居住の用に供していた宅地等(特例居住用宅地等)の場合
面積の上限:240㎡(平成26年12月末日まで)⇒330平米(平成27年1月1日以後)
減額の範囲:80%
2.事業の用に供していた宅地等(特定事業用宅地等)
面積の上限:400㎡
減額の範囲:80%
3.貸家の敷地など貸付の用に供していた宅地等(貸付事業用宅地等)
面積の上限:200㎡
減額の範囲:50%
これらの特例を上手に使うと、納付する額を大幅に減らせるだけではありません、「長年暮らしてきた宅地を、納税のために泣く泣く手放す」といった事態を避けることができた事例もたくさんあるのです。
平成27年度の、大きな変更内容は?
上述していますが、住まいを建てている土地については、特例を受けられる面積が今年から90㎡も拡大されました。たとえば路線価が25万円/㎡の土地が400㎡あり、その上に住まいがあるとしましょう。被相続人の没後、同居していた相続人が支払う額はどうなるでしょうか?
土地の評価額は、25万円/㎡×400㎡=1億円という額になります。
1.平成26年までの場合
1億円×(240㎡÷400㎡)×80%=4800万円 1億円-4800万円=5200万円
2.平成27年の場合
1億円×(330㎡÷400㎡)×80%=6600万円 1億円-6600万円=3400万円
今年からは、申告する額を1800万円も減らせることになりますね。住まいを建てた土地を近いうちに相続する可能性があるのなら、この特例を利用しない手はないでしょう。