2015年も残すところあと2ケ月ほどとなったが、年内最後の大きな山場となりそうなのは、FRB(連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切るかどうかという点だ。雇用状況も安定して改善し、一部では9月にも利上げに動くとの観測も出ていたが、原油安や中国経済の減速に対する懸念から金融政策の変更は見送られている。FRBの動向を市場がどのように織り込んでいるのか、それを知る1つとしてFF(フェデラルファンド)金利先物がある。今回はこのFF金利先物についてピックアップする。


FF金利を参照するデリバティブ商品

FF金利先物は、FRB(米連邦準備制度理事会)の誘導目標であるFF金利を参照としているため、先行きの政策金利に対する期待を図るのが比較的容易で、市場関係者や中央銀行が注目する。FF金利先物は金融派生商品で、シカゴ商品取引所(CBOT)に上場している。

先物とはそもそも、将来の定められた期日(限月)において、特定の原資産を現時点で決定した価格で売買する取引。FF金利先物は、36歴月まで毎月が限月で、各限月において日々のFF実効金利を30日ベースで平均したものが原資産となる。具体的には、ある限月のFF実効金利が平均3%になると予想されると、取引価格は97(100-3)となる。


利上げの確率がはじき出される

限月の価格と金利などの数字を基にして計算すると、市場が織り込む政策変更の確率が計算できる仕組みだ。CMEグループのフェドウォッチによると10月にFRBが利上げに踏み切る確率は6.9%、12月は33.6%、2016年1月は37.3%となっている。足元の取引価格は99.8750で、FF実効金利は平均0.125%とFRBが定めるFF金利0.25%の中央値に相当する。

こうした市場の期待に対する情報は、FRBのモニタリング対象ともされ、市場の思惑を把握する重要な手段の1つでもある。FF金利先物市場が材料視するものとしてFOMC(米連邦公開市場委員会)が挙げられる。今年の上半期に時計の針を戻して具体例を挙げてみよう。3月のFOMCの後に公表された声明文では、政策金利の先行きに関するファワードガイダンスで、「利上げに対し忍耐強く」という文言を削除して、6月からの利上げに道筋をつけた。