利上げ先送りへの失望を反映
しかし、声明文では、このフォワードガイダンスの修正について「FOMCが最初の利上げ時期を決めたことを意味するわけではない」と釘を刺した。「忍耐強く」というのは、続く2回のFOMCでは利上げに踏み切らないと解釈され、3月と続く4月の会合では利上げは実施せず、6月以降のFOMCの会合では利上げの可能性が排除されないはずが、イエレンFRB議長は、記者会見で声明文について「特に6月会合で必ず利上げするという訳ではない。ただ、その可能性も排除できない」と説明した。
この発言を受け、市場は利上げ時期が先送りされ、利上げスピードも緩やかになるとの見方を強めた。3月のFOMCが開催される直前までのFF金利先物は、2015年11限月が0.465%、2015年12月限月が0.515%だった。しかし、FOMC終了後の声明を受け2016年1限月が0.50%となり、現在のFF金利誘導目標の0-0.25%からの利上げ時期は、FOMCの会合前後で、2015年後半から、2016年年初へ先送りとなり、FOMCへの早期利上げの見送りに失望した結果を反映した。
年内の利上げの可能性は?
2015年のFOMCは12月15-16日を残すのみとなった。足元では、さえない経済統計が利上げに踏み切ることをためらわせる。9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が14万2,000人増と市場予想の20万3,000人を大きく下回り、8月分の雇用時計についても下方修正された。
さらに気がかりなのが中国経済だ。2015年7-9月期のGDP(国内総生産)速報値は、物価変動を除いた実質で、前年同期比6.9%増と、リーマンショック直後以来6年半ぶりに成長率が7%を下回った。この結果を受け、中国人民銀行は0.25%の利下げに踏み切り、同時に銀行預金金利の上限規則を撤廃して、原則自由化することを決定した。足元では、この対応を好感し、マーケットは堅調に推移しているが、先行きの不透明感は否めない。
力強さを欠く米国内の経済市場に、中国経済の減速に気を揉む状況のなか、FRBがいつ利上げに動き出すのか。今年残された12月のFOMCだけでなく、FF金利先物の動きからも目が離せない。(ZUU online 編集部)
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