最近の相場の乱高下から、「市場が落ち着くまでは安全資産に逃げておく」と言った言葉を最近よく耳にするようになった。かつては電力株や鉄道株も安全資産とされたが、近年は一般的に定期預金、金、国債、公社債投信などが安全資産として挙げられる。しかしそれらは本当に安全な資産なのか。リスクを確認していく。

定期預金——途中解約では通常金利が適用される点が問題

安全資産の定番が「定期預金」。今すぐには使う予定はないけども減らしたくはない。その様な資産を運用する先として挙げられる。

たしかに株式などとは異なり、金額が減少する恐れのない、数少ない元本保証の金融商品である。しかしこの定期預金には重大な欠点がある。それは、急にお金が必要な時に引き出せないことだ。

もちろん定期預金は中途解約が可能であり、実は中途解約不可と契約上なっている定期預金も中途解約できる。しかし、いずれにせよ中途解約を契約当初までさかのぼって通常の金利が適用されてしまう。流動性リスクを長年引き受けながら、通常の金利が適用されてしまうリスクもあるので注意が必要だ。

過去、物価上昇率は0.1%程度で金利も0.5%ほどあったが、現在の安倍政権は物価上昇率2%を目指している。物の値段が年に2%高くなると言うこと。このインフレに対応する為には、預金の利息も2%ないといけないが、2%の定期預金は仕組預金等のリスクがあるもの以外には存在しない。

金——株相場と相関性がないのが強みでもあり弱みでもある

「有事の金」とも言われるが、過去の金価格の変動を見ると1980年から2000年にかけて価格は5分の1に低下し、2015年現在には2000年の5倍近くまで回復している。5倍になる可能性もあるが5分の1になる可能性もある資産。これは一般的に言われる「安全資産」には該当しない様にも思われる。

また有事にも資産になるからと言われているが、果たして本当に有事に金の現物を持っていて換金できるのかは、特に日本のような島国においては疑問といわれても仕方ない。
もっとも、金は株式市場とは相関性が無いという強みがあり、株式が暴落しても金は価格が上がるかもしれない。ただこれは株式が急騰しても金が下がる、場合によっては暴落の危険もある事の裏返しとも言える。価格が変動しないという意味ではなく、株式市場と一線を引くことが出来ると言う意味での「安全資産」としては、大変大きな意味を持つ資産と考えられる。