(写真=PIXTA)
ズバリ、本記事タイトルの解答は「個人型確定拠出年金(DC)」だ。現役時代に一定額の掛金を拠出し、老後にその運用結果が反映された年金を受け取るという仕組みである。確定拠出年金は、英語のDefined Contribution Planを略してDCと呼ばれている。節税効果が大きい割にはあまり知られていない制度だ。「隠れた投資優遇税制」とも呼ばれるこの制度を利用しない手はないだろう。では、DCとは具体的にどのようなメリットがあるのだろうか、以下で詳しくみていく。
個人型DCの基礎知識
まずは、DCについての基礎知識を整理しておくことにしよう。「確定拠出」に対峙するのは「確定給付」だ。「確定給付」は、老後に受け取る金額を現役時代に確定しておいて、将来の受給額から逆算した掛金を現役時代に支払うという年金。つまり、老後の受給額をあらかじめ確定しておくという制度。
これに対し「確定拠出」では、拠出した資金の運用結果がどうなるかは分からないので、将来の受給額も未定ということになる。つまり、運用がうまく行った場合は年金額が増え、運用が不調であれば年金額が減る。また、掛金を支払うのが個人なのか企業なのかによって、DCは個人型と企業型に区分される。ここでは、個人型DCに絞って解説していきたい。
大きな節税効果
まず、個人型DCの最大のメリットは、掛金の全額が所得控除になることだ。税金は収入から様々な控除を差し引いた課税所得に税率をかけて決まるので、所得控除が増えれば当然その分課税所得が少なくなり、税額も減少する。企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合、月額2万3000円(年額27万6000円)を拠出限度額として個人型確定拠出年金に加入できる。
例えば所得税20%、住民税10%の計30%が課税される対象所得500万円の会社員の場合、もし年間上限である27万6000円を掛金に使ったとすると、節税額は年に8万2800円、20年では約166万円にもなる。
生命保険会社が扱う個人年金保険にも所得控除があるのだが、所得から控除できる額は現在のところ最大でも所得税分の4万円、住民税分は2万8000円だ。仮に上記の課税所得500万円の人が同じく27万円強を掛けたとしても、節税額は1万800円に留まってしまう。
個人型DCを利用できる資格者
現在個人型DCを利用できるのは、自営業者などの約1800万人に加え、勤務先に企業年金がない約6割にあたる会社員2200万人、合わせて4000万人だ。改正法案が成立すれば、2017年からは勤務先に企業年金のある会社員約1300万人や、専業主婦の950万人、公務員の440万人などもこれに加わることになる。
ただし加入資格者によって掛金の年間上限額が、自営業者などは81万6000円、企業年金がない会社員なら27万6000円、さらに2017年以降に追加される資格者についてもそれぞれに規定されている。