株式投資では景気の局面によって買われるセクターが異なります。セクターローテーションは景気の先行きをうまく見通す事ができれば、利益を挙げるのに非常に有効な手段となります。アメリカの著名投資家ジム・クレイマー氏も認めるその売買手法について見ていきましょう。

セクターローテーションとは

マーケットで物色されるセクター(業種)というのは景気の局面ごとでそれぞれ異なります。それは一部の機関投資家や個人投資家がマクロ的な視点で金利や経済の見通しを立て、その局面で最も有望だと思うセクターや企業に投資をして高いパフォーマンスを得ようと考えているからです。

セクターローテーションとはこのように景気の状況を先読みし、利益を最大化するために投資対象を切り替えていく投資方法です。また、この投資方法は元ファンドマネージャーで現在CNBCの投資情報番組でパーソナリティーも務めている、アメリカの著名投資家のジム・クレイマー氏も有効だと認めている事でも知られています。

1 景気の底入れは金融セクターの動向がカギ

セクターローテーションの考え方を取り入れて利益を挙げるためには、景気を先読みして投資するセクターを絞り込む必要があります。まず最初は景気が底にある状態の時に株価が動き始めるセクターから説明をしていきます。

景気後退局面で一定期間低迷し続けた後、どこかのタイミングで底を打ち、それを境にして反転を始めるというのが『景気後退から景気底入れ』への一連のながれです。その景気変動の中でまず最初に動き始めるのがこの金融セクターです。景気の底が見えてくると、その後の景気上昇時には半導体や工作機械などのハイテクセクターや化学セクターなどの設備投資が活発になります。それらの企業が行う設備投資には大きな資金が必要になるため、銀行などの金融セクターには資本調達のニーズが生まれる事が予測できます。

2 回復局面で買われるセクター

次に景気回復局面で買われるセクターについてです。これは前述した通り、ハイテクセクター、化学セクターなどの設備投資を行う企業群が挙げられます。 日本でハイテクセクターに分類されるのは、明確に定義されているわけではありませんが、電子機器に用いられる半導体やコンデンサなどの電子部品に携わる企業を指す事が多く、東京エレクトロンや村田製作所、TDK、京セラなどが挙げられます。化学セクターに分類されるのは、信越化学、旭化成、帝人などです。これらの企業は一般の消費者に製品を売るのではなく、最終製品を作るのに必要な部品や素材を製造する企業です。

景気が良くなるというのは消費活動が盛んになるという事を指します。しかしまだこの段階ではあくまでも景気の底入れから回復局面に入った程度のところですので、消費者の財布のひもは依然として固い状態です。どうやら見通しは今後明るくなりそうですが、最終製品が売れ始めるのはまだまだ先のはなしです。ならば景気の回復局面では後々になって需要が高まったり、売れる製品の元になるモノに先回りをして投資をする。景気回復局面で株価が動き始めるセクターにはこういった理由があるのです。