転倒・転落事故
(写真=PIXTA)

床から付加価値の高いリフォームを考える連載記事の第3弾。今回は死傷者数で交通事故を大きく上回る転倒・転落事故を床で防ぐリフォーム提案を考える。

◆2013年度の家庭内での転倒・転落事故による死亡者数は7766人(厚生労働省 2014年人口動態統計)。

死亡に至らないケースも考えれば、非常に多くの事故が安全なイメージのある屋内で起きていることになる。同じ年度の交通事故による死亡者数は6060人。減少傾向にある交通事故死亡者数に対し、転倒・転落事故は増加傾向にあり、1995年の1.3倍まで増加し、2010年には交通事故死亡者数を数の上でも逆転している(グラフ参照)。

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また、転倒・転落事故による死亡者数の中でも7割近くを占めるのが、「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」となっており、5301人にも上る。つまり、スリップ、つまづきを解消すれば、この死亡者数は減らすことができる。だからこそ、リフォームでの床による安全対策は急務だといえる。

滑りにくい床については、滑り抵抗係数(C.S.R値)の高い床材を選択することによって実現できる。滑り抵抗係数には、素足か靴下かスリッパか、ホコリや水の存在などの条件によって滑り方が大きく変わるため、幾つかの条件における測定値が規定されている。

一概には言い難いが滑り抵抗係数が高いほどスリップはしにくくなる。ただ、あまりに滑らない床だと逆につまづきの原因となってしまうので最適とされる値の商品を選びたい。一般のフロアの滑り抵抗係数は0.2から0.3の間が一般的だが、一般のフロアより抵抗係数を大きいものを選び、それをユーザーにしっかり説明することで差別化につながる。

滑りに対する配慮をして床材を選んでいても、万が一の転倒はありうる。転倒してもけがをしにくい衝撃吸収フロアも提案に取り入れたい。

一般的に、JIS規格による人の頭を模したヘッドモデルを落とした際の衝撃度を測る「床の硬さ試験」の測定値が100G以下の床は転倒してもけがをしにくいものとされている。各メーカーから出されている衝撃吸収フローリングは80~90Gのものが多く、万が一の転倒の際にも危険を減らす。

◆転倒・転落事故防止提案で押さえておきたい数字

1) 年間7766人が転倒・転落事故で死亡している
2) そのうち、「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」での死亡者数は5301人
3) 交通事故死亡者数6060人を大きく上回る(提供: リフォーム産業新聞 10月27日掲載)

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