「より快適でより便利な生活」への需要が益々高まる中、消費者のニーズに応えてApple Pay(アップル・ペイ)やChase Pay(チェース・ペイ)といった次世代モバイル・ペイメントが続々と登場している。

しかし絶え間ないニーズの変化と需要の間に生じた微妙なズレを指摘する声も聞かれる。


2016年には決済総額が2倍以上になる見込み

米マーケットリサーチ企業eマーケターは、モバイル・ペイメントによる決済総額が2016年までに87億ドル(約9808億8000万円)から最高270億ドル(約3兆3104億円)に増えると見込んでいる。

その一方で様々なリサーチ結果から、実際にモバイル・ペイメントを利用している消費者の数が、意外にも少ないことが判明。「モバイル・ペイメントへの意識が高い地域」とされている北米ですら、定期的に利用している消費者はわずか18%にしか満たない(米アクセンチュア調査)。

モバイル・ペイメントの利用が最も頻繁な層はミレニアル世代(23%)と高所得層(38%)で、コンタクトレス・ペイメント(NFC)を1週間に一度は利用しているという結果が出ている。


「決済の2割がモバイル」というスタバのような事例が必要か

こうした背景には既存の決済法(暗証番号の入力やサインを必要とするクレジットカードやデビットカード、小切手、あるいは現金など)を左程不便に感じていないという消費者の意識レベルの問題も大きく影響しているが、モバイル・ペイメントの利用先が未だ開拓中であるという事実も深く絡んでいる。

しかし米国でも国際的なペイメント・カードが従来の磁気ストライプベースからEMV化されたことでセキュリティー面が強化され、今後NFCを含むモバイル・ペイメントが飛躍的に普及するという期待が高まっている。EMVとはICカードと端末に関する仕様の国際的標準で、EuroPay、MasterCard International、Visa Internationalの間で合意されたことから、3社の頭文字が取られている。

これらの決済法の取り扱い店が拡大されれば、自然と消費者の意識も高まり、小売店側がモバイル注文やポイント制度といったプラスα要素を提供することによって、モバイルが決済の20%以上を占めるスターバックスのように成功をおさめる小売店が増加するのではないか −− という見方が強い。


モバイル・ペイメントが社会に浸透するための3つのポイント

Apple Payとのサービス提携を担当しているマスターカードのヨルン・ランバート氏は、「安全性」「便利性」「普遍性」がモバイル・ペイメントを社会に浸透させる3大ポイントだという。

つまり消費者に「欲しい」と思わせるだけではなく、「実際の生活に取り入れたい」と揺り動かす原動力が、今後のモバイル・ペイメントの発展の重要なキーとなるというわけだ。

既に「需要」と「実用性」のギャップを埋めようというチャレンジに多数の企業が挑んでおり、より低コストで手軽な決済法を提供することでトランスファー・ワイズ、ロビンフッド、ストライプなどのスタートアップが頭角を見せている。

大手デジタル・ペイメント企業、ワールドペイのケビン・ダラスCPOは、「従来のカード決済は今後も継続されるだろうが、主流は徐々にデジタル決済に移行する」と見ている。 (ZUU online 編集部)

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