JPモルガン・チェースは来年中頃にサービス開始を予定している新しいペイメント・システム「Chase Pay(チェース・ペイ)」について、ウォルマートやベストバイなど米国の大手小売業14社が参加しているペイメントネットワーク「マーチャント・カスタマー・エクスチェンジ(MCX)」との提携が完了していることを明らかにした。


幅広い互換性と簡単決済

「より便利でより快適なモバイル環境」への需要の高まりは金融業界にも押し寄せている。新世代競争は金融機関内だけに留まらず、AppleやGoogleといった畑違いのライバルの出現に、ハードルはますます高くなっている。

JPモルガンが世界最大手金融機関のプライドにかけて、この2年間開発を進めてきた新デジタル・ウォレット「Chase Pay」。ライバルのサービスにはOSという互換性の限界があるが、Chase PayはQRコードをベースにしているため、ほとんどのAndroidとiOS搭載機に対応可能だ。またNFC(近接距離通信規格)テクノロジーのように、タッチスクリーンやキーボード上の操作を必要としない。


Apple Payは米大手小売の3分の1しか導入していない

昨年10月のサービス開始以来、提携契約に苦戦している「Apple Pay」を尻目に、サービス開始以前から金融の専門家たちに「将来的には主流のモバイル決済法になるだろう」と言わしめるほどの大好調な出足を見せているChase Pay。ロイターの調査によると米大手100小売店のうち、わずか3分の1しかApple Payの導入を検討していないという。この格差は一体どこに起因するのだろう。

「打倒ライバル策」としてJPモルガンが第一に打ち出したのは、低取引手数料。手数料を低く設定しても、利用者が多ければ最終的には十分な採算がとれるという長期戦だ。また利用者が増加すればするほど小売業者が支払う手数料が低くなる仕組みなので、小売業者側も利用者拡大に熱が入るはずだ。

サービス開始後は小売店がChase Payを組み入れた顧客へのロイヤルティー・プログラム(ポイント制度)などを検討してくれるよう、JPモルガンは期待している。