(写真=PIXTA)

日本で不妊に悩むカップルは10組に1組ともいわれている。不妊の定義とは「健康な夫婦が避妊をせずに夫婦生活を送っているにもかかわらず、1年経っても妊娠に至らない状態」である。

現在、国の助成制度は女性向けの不妊治療が対象とされているが、厚生労働省は男性向けの不妊治療に対しても助成金を検討しており、早ければ年度内にも支給を始める方針である。不妊の原因の半分は男性といわれているが、そもそも男性の不妊の原因や治療法、不妊治療にかかる費用はどうなっているのだろう。

原因の半数は男性にもある

世界保健機構(WHO)が不妊症の原因を実施したところ、100組中、男性のみに不妊原因があるカップルは24組、女性のみに不妊原因があるカップルは41組、男女ともに不妊原因があるカップルは24組、原因不明が11組という結果になった。100組中48組(男性のみ原因24組+男女ともに原因24組)、つまり不妊症の約半数は男性にも原因があることがわかる。

しかしながら不妊を不安に思う夫婦はまずは女性が検査を受けるケースが多く見られる。不妊原因の半数は男性ということからすれば、男性も同時に検査を受けることが早期治療の早道となると考える。では具体的に男性不妊とはどういうものであるのか?

症状は大きく分けて2つ

男性不妊の症状は具体的には以下の2種類がある。

「造精機能障害」
精液中に精子がいない無精子症、精液中に精子はいるが数が乏しい乏精子症、精子の運動性が悪い精子無力症に分類され、男性不妊の約90%がこの症状にあたる。この様な症状であれば精子が卵管に到達しづらく不妊の原因となる。

「精路通過障害」
射精ができても精管が詰まっていて精子が排出されない状態のことである。精巣では精子がつくられているにも関わらず、精管が閉塞しているために精液中に精子いない「閉塞性無精子症」や精巣上体が細菌により感染し、炎症が精管をふさぐ「精巣上体炎」、前立腺の手術や糖尿病がきっかけで精子が逆流してしまう「逆行性射精」などがみられる。

他には勃起障害(ED)や35歳ごろから徐々に性質の質が低下していくことも原因のひとつである。

原因としては先天性と後天性のものがあり、 先天性の原因は遺伝的要因や発育段階で受けた影響が見受けられる 。後天性の原因は、アルコール、喫煙、ストレス、病気など様々な理由が考えられる。