かかる費用は「検査費用」と「治療費用」
男性不妊の治療の流れは、不妊検査を不妊治療専門の病院や泌尿器科で行い、検査結果により、今後の治療方針や治療内容が決まる。こういった治療にかかる費用は、健康保険の適用内か適用外(自己負担)かによって大きく変わってくる。
不妊治療にかかる費用は「検査費用」と「治療費用」がある。検査は採血や「血管内皮機能検査」「精液検査」があり、保険の適用内か否かや、検査を受ける医療機関によって数千円から1万円ほどとばらつきがあるようだ。
男性不妊の原因である精子が少ないもしくは出ない場合は、精巣から精子を取り出す不妊治療が多い。この治療は公的保険の適用外であり数十万円の治療費がかかる。
すでに治療費の半分を助成をしている自治体も
現行の国の制度ではこうした男性不妊治療については助成がなく、特定不妊治療(体外受精や顕微授精)について1回あたり最大15万円を国と自治体とで折半して助成している。現行の助成金に上乗せして男性不妊治療においても助成金を出す自治体が増えはじめ、厚生労働省も男性の不妊治療の助成に向けて検討し始めた。
すでに男性不妊治療の助成をはじめている埼玉県では特定不妊治療を行うために必要とされる精巣内精子生検採取法(TESE)や精巣上体内精子吸引採取法(MESA)、その他精子を精巣や精巣上体から採取するための手術(保険適用外)などの治療費用の半分(上限10万円)を現行の助成制度に上乗せして支払う。
不特定治療制度には夫婦の所得額の合算が730万円未満、指定医療機関での保険適用外の治療が対象となるなどの条件がある。詳しい条件や男性不妊助成制度を設けているのかについてはお住まいの自治体に確認しておくとよい。
男性不妊治療法とかかる費用
男性不妊助成制度の対象となる「精巣内精子生検採取法(TESE)」「精巣上体内精子吸引採取法(MESA)」「経皮的精巣上体内精子吸引搾取法(PESA)」についての治療法とかかる費用は以下となる。
「精巣内精子生検採取法(TESE)」
陰嚢を切開し、白膜下を切り、ごく少量の精巣組織を採取し顕微鏡で精子の存在を確認 する。
「精巣上体内精子吸引採取法(MESA)」
腰椎麻酔をかけ、陰嚢を切開し、顕微鏡下で精巣上体被膜を切り、精巣上体管を露出しカテールなどで精子が入った精巣上体液を搾取する。
「経皮的精巣上体内精子吸引搾取法(PESA)」
局部麻酔の後、陰嚢皮膚より直接精巣上体に針を刺し精子がいる内容液を吸引する。
費用は10万円~50万円となる。
不妊治療は治療法や治療回数が重なり治療費が高額になる上、精神的な負担も大きく、治療を途中で諦めるカップルも少なくないという。男性向けの助成金の支給が開始されることでわずかでもカップルの負担が軽減されることを願う。
今関 倫子 ファイナンシャル・プランナー (AFP)
外資系保険会社勤務中にファイナンシャル・プランナー(FP)を目指し、AFP(日本FP協会認定)資格取得後、独立系FP事務所に転職。女性を中心に年間のべ200件以上のマネー相談を受け、多くの経験を経て独立。個人マネー相談、執筆、マネーセミナーを中心に活動中。
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