患者と医師の間の情報の非対称性が課題に

患者申出療養制度に対しては、患者団体からの意見聴取を行うことなく、中央社会保険医療協議会の議論を進めたことから、難病や長期慢性疾患、小児慢性疾患、がんなどの患者団体から懸念する声が上がっている。

専門知識のない患者が、未承認薬や医療材料、医療技術に関する情報や、副作用・相互作用情報を収集・判断することは容易でない。このように、患者と医師の間で情報量に大きな格差がある状況で、患者申出療養を選択した場合のリスク、副作用などが発生した場合の責任の所在など、制度の具体的な運用に関わる部分の議論はこれからだ。

医療保険の患者申出療養への対応に注意

患者申出療養制度がスタートすると、民間保険会社が提供する医療保険の補償内容が変わる可能性がある。例えば、過去の実績が豊富な治療法とそうでない治療法では、保険料の設定や、公的医療保険でカバーされない部分の医療費に差が出るケースがあり、治療法の選択如何で補償範囲も変わる。

また医療保険に新規加入する場合、従来の評価療養に対応する「先進医療特約」と、新制度の患者申出療養に対応する「自由診療保険」の保険料や補償範囲の内容もチェックしておく必要がある。 (ZUU online 編集部)