全国のコアCPIは15年末までには再びプラスへ
15年11月の東京都区部のコアCPIは前年比0.0%(10月:前年比▲0.2%)と下落率が前月から0.2ポイント縮小し、5ヵ月ぶりにマイナスを脱した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.1%、当社予想も▲0.1%)を上回る結果であった。
食料(生鮮食品を除く)は前年比1.7%(10月:同1.9%)と伸びが鈍化したが、電子レンジ、電気冷蔵庫などの家庭用耐久財(10月:前年比5.5%→11月:同8.6%)、テレビなどの教養娯楽用耐久財(10月:前年比12.6%→11月:同15.6%)、宿泊料などの教養娯楽サービス(10月:前年比0.7%→11月:同2.0%)の上昇率が高まったことがコアCPIを押し上げた。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が▲0.84%(10月:▲0.89%)、食料(生鮮食品を除く)が0.37%(10月:0.39%)、その他が0.47%(10月:0.30%)であった。
原油価格(ドバイ)は1バレル=40ドル前後の低水準で推移しているが、エネルギー価格の前年比下落率は年末にかけて縮小に向かうことが見込まれる。
また、かつてに比べて企業の値上げに対する抵抗感は小さくなっており、コアCPI上昇率がマイナスとなる中でも円安に伴う原材料価格の上昇に対応した価格転嫁の動きは継続している。
10月(全国)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(いわゆるコアコアCPI)は前年比0.7%と9月の同0.9%(消費税の影響を除く)から上昇率が鈍化したが、東京都区部の11月のコアコアCPIは前年比0.6%と10月の同0.4%から上昇率が高まっており、エネルギー以外の物価上昇圧力は依然として強い。
現時点では、原油価格(ドバイ)が徐々に持ち直すことを前提として、コアCPI上昇率は15年末までには再びプラスに転じると予想している。
斎藤太郎
ニッセイ基礎研究所 経済研究部
経済調査室長
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