ファンドマネージャーも気にしている数値

今回は株式投資におけるベータ値とアルファ値についてです。

この2つの数値はアクティブ型投信のファンドマネージャーも特に気にしている数値と言われています。彼らは常にマーケットの上昇以上の運用成績を残す事を求められているため、ファンドに組み入れられる銘柄にもリサーチにリサーチを重ねたものが選ばれるのです。プロの投資家が実際に用いるその数値とはどんなものなのか、そしてそれをどう活用するのかをご紹介いたします。

1 ベータ値とは

昨年1年間の日経平均株価の上昇率は56.7%で日本は世界で最も株が上昇した国になりました。しかし株式投資をやっていれば日経平均株価などの全体の雰囲気は良いのに、自分の株だけはなぜか上がってくれないなんて事もしばしばあるものです。マーケットが好調な時はその動きに合わせて上昇してくれるような銘柄を選び、チャンスをしっかりモノにしたいところです。

そんな状況で役に立つのがベータ値です。この数値はINDEX指数(日経平均やTOPIX)に対して対象銘柄が指数の変化よりもどれだけ大きく動くかを数値化したもので、たとえばベータ値が1の銘柄はINDEX指数が1%上昇すると1%上昇します。逆に1%下落すると連動して1%下がります。ベータ値が2の銘柄は日経平均が1%変動すると2%動く事を意味しベータ値が0.5の銘柄は日経平均が1%変動するとその半分の0.5%変動するという事になります。

セクターとしては主に景気敏感株と言われる証券や不動産が筆頭にあげられます。2014年3月までのベータ値の高い代表銘柄は、SBIが5.364で東証1部全体で1位。証券セクターでは他に松井証券が2.297、野村HDが2.073でした。主な銘柄では他にファーストリテイリングが1.930、海運株の商船三井が1.506、KDDIが1.463という結果になっています。逆にベータ値が低いのはディフェンシブ株と言われるセクターで、食品の日清食品が0.075、薬品の中外製薬が0.381、武田薬品が0.472となっています。他には化学の資生堂が0.437、コンビニのローソンが0.357という水準でした。

2 マーケットの風向きを見極める

ベータ値がどういうものかは理解いただけたと思います。しかし同時にマーケットがこれからどっちに動くのかを見極める必要があります。ここではあえて今後の相場がどうなるかやその見極め方には触れません。ですがベータ値に限って言えば、その数値が高ければ高い程値動きが大きくなるため上昇相場では有利です。しかしマーケットが軟調になるとその分リスクを背負う事になります。一方、低ければ下落には備えられますが上昇相場には大きく出遅れる可能性が高くなります。これを頭に入れておく事で相場の状況に応じて投資戦略を練る事ができるのです。