3 アルファ値とは

アルファ値とは証券の投資家が予想する投資収益率と均衡期待収益率との差の事です、、、と言ってもなかなか理解しにくいので、ここではまずアルファ値がどんな機能を果たすのかという視点で説明をしていきます。

アルファ値には2つの面があります。
1つ目はマーケットにおいてその銘柄が適切な価格付けをされているかどうかを選別するための基準となる機能です。前述した投資収益率が均衡期待収益率を上回る場合にはアルファ値はプラスになり、その銘柄が過小評価されている事を表します。過小評価されているというのは、今後見直し買いされ、株価は上昇するという解釈ができます。ですからプラスのアルファ値はその銘柄の買いシグナルであるとも言えます。

一方アルファ値がマイナスの場合は、その銘柄が買われ過ぎて過大評価されているという事なので売りシグナルと捉えられ時間と共に売られるという事になります。2つ目はその銘柄が持つ特性によってINDEX指数を上回る収益をどれだけ挙げられたのかを示します。1990年に「資産運用の安全性を高めるための一般理論形成」の研究でノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・F・シャープ氏は株価変動の約3分の1はマーケット全体の動きによるもので、それ以外はその企業が持つファンダメンタルズなどの要因によるものだと言っています。これを国内のマーケットに当てはめると、いわゆるテーマ株や最近耳にするようになったモメンタム銘柄という見方もできるでしょう。

4 アルファ値を収益に結びつけるには

投資しようとする銘柄が果たして過大評価されているのか、あるいは売られ過ぎの状態にあるのか。さらに今現在マーケットで話題になっていたり、直近大きく動いているのはどのセクターのどんな銘柄なのか。

証券アナリストの橋口宏行氏はアルファ値が高い銘柄は相場が上がり始める時には他に先駆けて上がり、下がり始める時は全体よりも後になってから下がるという見解を示しています。アルファ値を収益に結びつけるにはやはりリサーチが不可欠ですが、その価値は十分あるのではないでしょうか。

値上がり益と配当の二段構えのスタンスが可能

値上がりを狙っている投資家にとってアルファ値が高い銘柄に投資をできればそれだけ利益に近付くわけですが、ベータ値に関しては一概に高い方が良いとは言えません。それは前述した通りマーケットの風向き次第だからです。仮に今後、日経平均株価が大きく上昇するのであればアルファ値とベータ値の高い銘柄に投資をする事で『全体は上がってるのに自分の株は上がらない』なんて事は避けられるでしょう。 しかし多くの個人投資家は方向感を読む事に対してとても難しいと感じていたり、苦手意識を持っているのが実情です。ここまでベータ値とアルファ値についての説明をしてきましたが、最後にこれら2つの数値を活用しつつ、マーケットの動きに対応する方法をお伝えしたいと思います。

株式投資のスタイルの一つとして銘柄をひとつに絞り込まずにいくつかに分散させるというのがあります。マーケットの先行きが見通せない場合には、それが下落しても横ばいでも利益を狙えるような銘柄構成である必要があります。その中で下落に強い組み合わせというのがアルファ値の高い銘柄で値上がり益を確保しながら、ベータ値の低い銘柄で下落に備えるというものです。しかもベータ値が低いディフェンシブセクターの中には武田薬品のように配当が高水準の企業が多く含まれています。ちなみに長期投資を前提としたNISA口座での売買において最も買われたのがこの武田薬品の株だそうです 。

このように高アルファ値の銘柄と低ベータ値で高配当の銘柄は上昇相場ではなくても値上がり益と配当という二段構えのスタンスが可能になるのです。

BY D.T

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