(写真=PIXTA)
20代で結婚・出産、30代で住宅購入、40代で子供が独立し、50代で老後の資金準備、そして60歳で定年――。こんなライフプランが主流だったのも一昔前の話。晩婚化、定年後の再雇用制度の普及などによって今や40代での住宅購入も珍しくない。
しかし40代の住宅購入は気を付けるべきポイントが20代、30代とは異なっている。具体的に見てみよう。
40代だからこそ気を付けたい「住宅購入」ポイント
40代での住宅購入では留意すべき点が主に3つある。
①健康状態に注意
金融機関で住宅ローンを借りるには、原則として団体信用生命保険(以下:団信)への加入が条件となる。団信とはローン専従の生命保険で、ローンの名義人に万が一のことがあった場合、ローン残債分の生命保険が支払われる。
40代になるとそれなりに病歴のある人も多いだろう。しかし、一般的に糖尿病や高血圧症などは団信の審査が通らないとされている。例え完治済でも病歴があるというだけで審査が通らないこともある。
フラット35の場合、団信への加入義務はないが、団信未加入での借り入れはリスクが高い。加入条件が緩和された団信も存在する。多少金利は高くなるが、健康リスク回避のため加入を検討して欲しい。
②教育費の増加を見据える
子どもがいる場合、教育費の増加に注意したい。40代というと子供は小学校高学年くらいだろうが、教育費は中学生から急に上昇する。学費の負担もさることながら、部活費用、学習塾の費用、携帯電話代などの支出もある。
住宅ローンの返済と教育費の増加というダブルの支出増が襲ってくることになるので、現在の家計状況で「毎月このくらいなら返済できる」と見込んでいていると、数年後の返済が厳しくなることも予測される。教育費が数年で増加する家庭の場合は、毎月返済額に余裕を持たせておくようにしたい。預貯金がある場合も、教育費を考慮して頭金を支出するといいだろう。
③老後資金を忘れずに
ついつい後回しにしてしまうのが老後資金。しかし先延ばしは禁物だ。教育費を優先するあまり老後資金が枯渇し、将来的に子どもの援助に頼ってしまうというケースも考えられる。子供からの援助を受けるのは悪い事ではないが、経済状況によっては親への援助により子供自身の住宅取得や孫の進学を阻む恐れもある。
住宅ローンを返済しながら老後資金も積み立てるというのが理想ではあるが、教育費も増加する状態ではそれも難しいかもしれない。その場合は最低限、退職金をあてにすることを避けたい。年金が潤沢だった時代には退職金で住宅ローンを完済するのも有効な手段だったが、年金の財源が減少している今退職金を住宅ローンに回すことはリスキーだ。退職金をあてにしなくても済む返済計画が不可欠である。
40代住宅購入の落とし穴
仮に「借りられる額を借りて家を購入」してしまうとどうなるのだろうか?
まず、教育費が不足する。子どもが高校生までは公立で何とかまかなうことはできても、大学進学時は苦しいだろう。大学進学を希望する場合、国立を目指すか奨学金を利用するなどの手立てがあるが、どちらも楽な手段ではない。
更に老後資金の枯渇も考えられる。子供に頼ろうにも子供自身が奨学金の返済に追われているかもしれない。最後の手段として住宅の売却が考えられる。しかし、希望価格で住宅が売れるとは限らない。
現在全国で空き家が増えている。立地や状態によるので一概には言えないが、空き家が増えているという面から見れば将来的に中古住宅の価格は下落すると考えられる。特に、生活苦でメンテナンスが手薄になっている住宅は価格が低くなる確率が高い。