②ストック分析

金融資産・負債残高表(ストック表)からはある時点における経済主体ごとの金融資産の残高や負債の残高、またその構成を理解することができます。実際に日銀が発表しているストック表をみてみましょう。2013年12月19日に公表された2013年第3四半期のストック表の一部抜粋です。(URL: http://www.boj.or.jp/statistics/sj/ )

ストック表

家計に着目してみてみると、総額1,598兆円に及ぶ家計の資産が、具体的に預金、保険、証券などどのような形態で、またどの程度の額や割合で保有されているかが理解できます。また企業や政府の負債に着目すると、いかに資金が調達されているのかが理解できます。先ほど紹介したフロー表とも併せて考えるとより資金の動きや金融構造を把握するのに役立つかと思います。

また金融機関が各経済主体の仲介役としてどのように機能しているかを俯瞰的にとらえることができるのも、スクット表の特徴の一つです。つまり金融部門が家計、企業、政府の余剰を使用し、どのような商品を通じてファイナンスしているのかを捉える事ができます。

またフロー表と同様に時系列に情報を並べる事で、金融構造の変遷をとらえることができます。家計の預金は金融仲介機関を通じて企業や政府の負債へと流れていますが、1990年代を通じて負債構造には大きな変化が生じています。法人の金融機関からの借り入れが減少する一方で、政府の負債の証券残高は増加傾向にありました。家計からファイナンスされた資金は金融機関を通じ政府の負債(国債)へと流れています。バブルが弾け金融機関も運用先がなくなりました。ストック表をみると金融機関の運用先が国債へとシフトしたことがわかります。


金融構造の変化を捉える

フロー表、ストック表ともに四半期ごとの発表なので速報性には欠けますが、時系列に照らし合わせて、中長期的な金融構造を分析するには非常に有用なツールだといえます。各経済主体がどこから資金を調達しどこで運用をおこなうのか、またある時点での負債と資産の残高はどのような構造になっているのかを俯瞰的な目で理解することで、将来のマネーフローや金融市場の長期的動向、また日銀の金融政策の結果を分析するのに役立てて頂ければとおもいます。

是非、日銀のホームページにて資料をダウンロードしてみてください。

BY Ken:FXコンサルタント

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