老舗

(写真=PIXTA)

世界の長寿企業の半数以上は、「メイド・イン・日本」という事実

企業にも人間と同じように寿命がある。平均寿命で解散するものがあり、短命に終わるものもある。そんな中でも最も気になるのは長寿企業ではないだろうか。長寿という定義は曖昧だが、人間の場合100歳を間違いなく長寿といえるように、会社も100年以上続くもの、できれば200年を超えるものを長寿企業と考えたい。

そこで、世界で200年を超える企業を見ていくと興味深いことがわかってくる。韓国銀行が2008年5月に発表した「日本企業の長寿要因および示唆点」によると、創業が200年以上の企業は5586社あり、そのうちの実に半分以上の3146社が日本にあるのだ。それに837社のドイツ、222社のオランダ、196社のフランスと続いている。

世界最古の企業は、578年創業の建設会社・金剛組、705年創業の温泉旅館・慶雲館、717年創業の同じく温泉旅館・千年の湯古まんと、ベスト3もすべて日本企業だ。

欧米に比べ少ない戦乱と恵まれた地理的条件が多くの長寿企業を生み出した

2世紀を超える長寿企業の56%が日本企業だということは、一体何を意味しているのだろうか。

ヨーロッパや中東、中国などの大陸国家の歴史を紐解けば侵略、内戦、植民地化に彩られていることがわかる。それに比べると日本は戦乱が少なかったので、それらによるダメージを受けることもあまりなかったのだ。企業を長く維持していくためには、まずは「平和」が必須条件なのだ。

また、世界最古企業の2位と3位が温泉旅館だということも別の意味で象徴的だろう。

辺鄙な山奥の旅館だから、戦乱の影響もそこまでは及ばなかったのだ。だが、これはスケールを大きくして考えれば、日本という国自体が(辺鄙な)東洋の果ての国で、なおかつ島国で異民族の侵入のリスクにさらされる可能性が少なかったことと同じなのだ。つまり地理的条件に恵まれたのだ。もっとも外部と遮断された地だということは、「ガラパゴス化」という言葉に表されるような負の側面も持っているわけだが。

もちろん長寿企業の条件は「平和」と地理的好条件だけではない。

実際、明治維新、日清戦争、日露戦争、関東大震災、2度にわたる世界大戦、それに最近だと東日本大震災などの激動の時代を日本は経てきている。

長寿企業を目指すには、ビジネスを社会貢献と捉え「神」への畏怖の念を持つ

それでは、長寿企業となるためには、何が必要とされているのだろうか。それは、長寿企業の経営理念に鍵があるのではないか。

多くの長寿企業は、ビジネスを単なる金儲けの手段と捉えていない。社会的な意義を持つ行為だと考えているのだ。これが基本で、自分(自社)がよければそれで良いという思想ではないのだ。

たとえば、近江商人の心得として知られている「三方良し」とは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の3つの「良し」のことだが、これがまさに社会的意義を持つ行為だということを指している。つまり共存共栄を追求しているのだ。

さらにこのような考え方がベースにあるので、社員を家族のように手厚く扱う長寿企業がとても多い。

また、長寿企業の共通点は神事・祭事・仏事に非常に重きを置いていることだ。多くの社長室に神棚が祀られていることからも、それはわかるだろう。自然をはじめ、人の力が及ばないものに対する畏怖の念を強く持っているのだ。

最終目標を金儲けではなく社会貢献とすることと、神事・祭事・仏事を大切にすること。

この2つは、「契約」でがんじがらめにする欧米企業や、昨今のある種の日本企業のガバナンスとは対極に位置するものかもしれない。しかし、これこそが長寿企業となるための必要最低条件だろう。(提供: Vortex online

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