ビジョン,上場

(写真=PIXTA)

東京証券取引所は11月16日、ビジョン<9416>の新規上場(IPO)を承認した。東証マザーズへの上場予定は12月21日で、同日にはマイネット<3928>も上場する。公開価格の決定は12月10日。

ビジョンはいま注目の仮想移動体通信事業者(MVNO)であり、国内向け・海外向けのモバイルWi-Fi事業を展開している。同社について詳しく見ていこう。

【目次】


>> ビジョンの上場はどう魅力的なのか?

MVNO?ビジョンの事業内容とは

ビジョンの主な事業内容はグローバルWi-Fi、情報通信サービスの2つとなっている。

グローバルWi-Fi事業は海外事業と国内事業に分かれており、海外事業では渡航者向けのWi-Fiルーター「グローバルWiFi」、国内事業では訪日外国人向けのWi-Fiルーター「NINJA WiFi」のレンタルサービス等を行っている。

情報通信サービス事業では移動体通信機器の販売をはじめ、各種OA機器の調達からWEBマーケティング戦略まで、情報通信領域のすべてに対応できる総合サービスを提供している。

同社のこれまでの主力事業は情報通信サービスだが、このところグローバルWi-Fi事業が大きな伸びを見せている。

日本旅行業協会の発表する「海外旅行者数と海外旅行費用の推移」によると、1964年の海外旅行自由化以来、海外旅行者数はおおむね増加傾向にある。テロや重症急性呼吸器症候群(SARS)、イラク戦争の影響などで減少した年もあるが、1964年には12万7749人だった旅行者は、2013年には1747万2748人にまで増加した。こうした海外旅行者に需要があるのが同社の「グローバルWiFi」で、今後も成長が予想されている。

同時に、インバウンド需要の増加も好影響を与えており、国内向けのルーターレンタルサービスをはじめとした同社のグローバルWi-Fi事業は今後も堅調に成長すると見込まれる。

Wi-Fi 市場の分析とビジョンの競合企業情報

先にも述べたとおり日本では海外からの旅行者が増加傾向にある。他の先進国と比較すると、日本は無料Wi-Fiスポットの整備が非常に遅れている。そのため、「NINJA WiFi」といったルーターレンタルサービスへのニーズが高くなるのだ。同社のグローバルWi-Fi事業の伸びは、インバウンド需要の増加によるところがとても大きいといえる。

さらに、日本はSIMフリー携帯を持っている人が少ない。SIMフリー携帯とはSIMカードのロックが解除されている携帯のことで、海外では一般的。SIMフリー端末を持っているなら問題はないが、持っていない人が海外でインターネットに常時接続するにはWi-Fiルーターを借りる必要がある。逆に言えば、海外に行く日本人にとってモバイルWi-Fiルーターはネット接続の必需品なのだから、その市場ポテンシャルは高い。渡航者向けのWi-Fiルーター「グローバルWiFi」の伸びも堅調といえるだろう。

では、ビジョンの競合企業というとどこになるだろう。まずは「イモトのWiFi」で有名なグローバルデータが挙げられる。他にはNTTドコモ(docomo) <9437> を始めとする携帯電話会社、エイチ・アイ・エス(HIS) <9603> などの旅行会社、日本航空(JAL) <9201> などの航空会社でもモバイルWi-Fiルーターのレンタルを行っている。

ビジョンIPOの魅力


急落するリスクもあるIPOだが、全体的に見れば初値が公開価格を上回るケースが多く、特に成長性のあるITベンチャー企業などが中心のマザーズ市場はその傾向が顕著である。

ではその中でもビジョンはどうなのだろうか。ビジョンは話題のMVNO関連銘柄ということで注目度が高い。今後は需要が堅調なグローバルWi-Fi事業が情報通信サービス事業の売り上げシェアを逆転しそうな勢いにあり、大いに期待できる。

IPO後は一体どうなるのか

ビジョンの事業自体はMVNO関連であり注目度は高い。また、Wi-Fi事業が成長をけん引しているところも魅力だ。懸念としては市場で警戒感の高い光通信グループであることが挙げられるが、上場を機に持分会社からは外れる。ただ、新株発行が多いため来期の希薄化は心配材料。さて、IPO後の初値がどうなるか。楽しみである。